-ポップカルチャーを席巻した狂気の殺戮人形が帰ってくる!-
なぜか日本公開が寸前で無くなってしまったあのミーガンの続編。
なんだかんだでアマプラにはきてくれたのでホッと胸を撫で下ろしつつ鑑賞。
日本に上陸できなかった詳しい理由までは知らないけどまあ予告の段階で見て取れる開き直ったかのような路線変更が本国ではウケなくて興行成績がひでえことになっちまったのかなぁなんてイメージがあったもんで当然それ相応の微妙な内容でふざけ倒しているところで笑えればいいのかなくらいに構えていたわけで。
いや全然めちゃくちゃ面白いじゃん…!!
日本公開しとけよこれは!日本人好きだろこんなん!!
表面上は前作のホラー成分を完全に捨て去りSFアクション路線に変更という大ふざけをかましているのだがちゃんとその真ん中には「AIと人間」「親と子」というテーマがきちんと存在する大真面目な映画だった。
いやクソふざけてはいるんだけど。
前作の敵キャラが続編では味方になってより危険な敵と戦う近未来SFアクションとかもうターミネーターすぎるんだけどそのこびりついたイメージは薄れることなく頭の中に残り続けながら最後まで見ることとなったわけだけどとにかく良かったね。
ちょーっと専門用語というか小難しいワードをつらつらと並べられて「なんかようわからん!」ってなったりだとか場面ごとに「ちょっとここ長えな!」なんて思ったりとか気になるところがないわけではないけどまあでも見終わってみるとちゃんと良いじゃん!ってなれる映画。
前作からミーガンだけをそのままに、対する人間たちは新キャラクターにして彼らがミーガンに翻弄されるホラーを展開することだってありえたはずなのにあえてそうはせずに前作からの直接の続編ストーリーにしつつその上でまるで雰囲気の異なるSFアクション路線に踏み切ったその勇気は讃えられたっていいと僕は思うのだがこれがあまりウケなかったってのが驚きである。
前作はほぼ育児放棄に近い状態なおかげでギクシャクだったケイディとジェマの擬似親子関係をなんとかかんとかスタートラインにまで持っていく物語だったと思うんだけど、前作のおかげでそのあたり何もかもがはいスッキリ!となっているわけでないのも好感度が高い。
そりゃあんなにうまいこと姪っ子に向き合えずミーガンに子守りを押し付けていたジェマが自信満々に親役ができるかというとそんなわけはない。
今だに子供との向き合い方に悩んで苦しんでいることがはっきりと描かれていて(そう抱え込むこと自体が親のそれなんだけど)そこがすごく良かった。
ガラッと人生好転全部うまいこと人間関係行きますよ!みたいな都合が良いもんを見せるんじゃなく泥臭いまでにもがいている人間らしさが描かれるほどにスパッと色々行動解決してみせるAI達の姿と明暗がくっきりしていて非常に綺麗。
人生なかなかうまくなんかいかねえけど、それでもなんとか形にしようともがいている姿が美しいんだよな!!
そして対するケイディははっきりと口にしているわけではないもののジェマをちゃんと慕っているしこの関係も大切に思っている、なんならその背中を追いかけていることが観客視点からは見えるんだけどジェマは上手くできないと思い込み「うーんうーん」と苦しんでいて、相互が完璧に理解しあえているわけじゃないけどそれでも互いが互いを考えて進もうとしている姿はAIに全任せのネグレクトをしていた前作の関係からは大きく前進している。
少しずつだが良い方向に変化している2人の姿はまさに人間らしい関係性の構築そのものであり、前作からの地続きでそれを見せてくれたことが嬉しい。
こういう繊細な部分を大事にしてくれていたからそこを中心に構築されていったSFバトルアクション風味が面白すぎてしょうがないのだ。
感情を獲得し前作のことなんかについても「いやーあんときはテンパっててさ!メンゴメンゴ⭐︎」くらいの軽いノリでくるミーガンも前作から確かな変化というか、彼女もまたAIとして成長しているのだと取れる場面が見られて人間とAIの進化が本作らしいやり方できちんと描かれていたように思う。
加えて前作では異質な存在感を放ち完璧な行動故に恐怖を与える存在であったミーガンが結構親しみやすいキャラクターになっていたのも印象深い。
キレッキレのダンスをしながら人間を斬殺するような機械的な冷たさを感じさせることなんてなく、未完成の体を見られて恥ずかしがったり生みの親であるジェマのエロサイト閲覧記録にちょっと複雑そうな様子を見せたりと前作の恐怖のパーフェクトAIではなくすごく人間らしい進化をしていて可愛さがマシマシになっていたなと。
親としてのあり方に悩むジェマのメンタルケアをする姿なんかがまさにそうなんだけどより良い形で人間と共存するAIを本作のミーガンは体現していて、これは前作があってこその成長だし彼女が今度は味方として寄り添ってくれることにかなりの納得感を得られるものだったと思う。
最初は「ミーガンのキャラがウケたから軽いノリでターミネーターからのターミネーター2っぽく今度はミーガンが味方にってなったら面白くね?」と酒を飲みながら軽いノリで決めたに違いないと決めつけていてすみませんでした。
(でも軽いノリはそこそこあったんじゃなないかなと今でも思っている)
そしてジェマとケイディの生の人間の親子関係だけでなくミーガンとジェマ、ミーガンとケイディを通してAIとその生みの親、またはAIとそれを使い育む者という形で「親と子」が描かれているところがすごく真摯だなと感じた。
その使われ方故に冷徹で残忍な存在としてあり続けるアメリアがミーガン周りの信頼関係構築との良い感じの対比にもなっていてAIの怖さと利便性、場合によっては友達のように触れ合える親しみ、いろんな角度から本作はAIを描いていたのだと思う。
結局のところAIって使う人や環境によって天使にも悪魔にもなるよね、という散々これまで多くの人から指摘されている普遍的なことを物語としてわかりやすく見せてくれていたのがこのミーガン2.0なんじゃないかなと。
前作よりもAIという存在に歩み寄っているような気がしたけどそれは錯覚かな?
前作も一回見たきりだからな…本作を踏まえて改めて見返すとまた違う味があるのかも。
警鐘を鳴らすような内容になっているのは共通だけど、どちらかというと未来への期待と希望をくれるそんな内容になっていたように思う。
あと肝心のアクションもとても良かったのでそこを期待している人にも良い映画じゃないかなと。
正直その辺への期待は全然してなかったんだけど結構気持ちのいいアクションがたくさん見れて楽しかった。
まさかセガールがキーパーソンになるとは思っていなかったので大変笑かされました。
最高です。
ホラー味が皆無になったことで残酷描写もただでさえ薄かった前作と比較してより極小に、というかほぼ無しに。
そんなこんなで非常に見やすく、それでいてメッセージ性ありつつ毒もありつつと大人から子供も楽しめる良い具合のエンタメムービーに仕上がっていたと思う。
なのに日本公開中止されたってんだからまあわからないっすよ。
それくらいの大ゴケをしちゃったからなのかなんなのか。
某国を唐突に鋭利なギャグでディスったせいかとちょっと思ったりもしたけどまあたまたまかな…
けどほんとにもったいないなと思いましたよ。
今からでも公開しないか?
そして作ろうぜミーガン3.0!
まあ予定していたスピンオフなんかもポシャっちゃったんだろうけどさ、うーん勿体無い!
改めて、ミーガン2.0はちゃんと面白かったよ!
