ざっくり言えば金持ちの家の少女を誘拐したらその女の子が実はとんでもないバケモンだったぜ!!という映画。
似たような「可愛らしい女の子が大暴れムービー」として『M3GAN/ミーガン』なんかが頭に浮かぶ人も多いだろう。
映画の内容自体は手放しで「最高!!面白ぇぇ!!」と興奮するほどのものではなかったなというのが個人的な感想である。
予告を見た時に期待していたのはもっとゲラゲラ笑わせてくれるものだったのだが少し違ったなと。
一応そういう場面もあるにはあったものの意外とそっち方向には全力で走ってはいなかったので「おや?」と引っかかったのが一つ。
ではゴリゴリに怖いホラーや意外な展開を挟んで気持ち良く驚かせてくれるのかなと思いきやその辺もそうでもなかったのが二つ。
この期待していた方向へのダッシュ力が低かったことと驚きポイントも「な、なんだって〜!!」となるほどのものでもなければホラーっぽい怖さも少なかったという点から個人的には肩透かしのような気分を食らったかなというところ。
とはいえそれでも本作の主食そのものである少女アビゲイルの存在感は強く、彼女の一挙手一投足を楽しむ分には十分に満足できたし大人サイドの主人公であるジョーイもかなり画面映えのする美人さんでなんかもうずっと色気があってこの辺は大変良かった。
この二人の存在によってかなりの加点が出来た映画だったかなと。
アビゲイルについてだが可愛い少女としての姿と迂闊に近づくと首を掻き切ってきそうな怪物としての姿の両面どちらも魅力的でもっともっとアビゲイルを出してくれー!!と叫びたくなる程度には魅力十分。
口元を血に染めてニコニコとゆっくり歩きながら近づいてくるところやパワーでなんとでもできるだろうに搦手を使ってくる嫌らしさなんかも持っていたりとかちょっと一個のキャラクターとして良すぎたなと。
おかげでアビゲイルが映っていない場面では内心「アビゲイルーー!!来てくれーーっ!!」と思いながら見る羽目に。
キャラクターとしての完成度と存在感が他と比べると頭抜けていてもっとアビゲイルちゃんの活躍を観たいなと思いましたね。
アビゲイルが首の無い死体と踊っていたりとかバレエ殺法みたいな闘い方したりとか彼女一人だけでかなりの見所が作られていたのでもうゴジラみたいな存在だと思う。
人間よりバケモン映せーー!!みたいな気持ちにさせられてしまうのは最早。
また、物語のシチュエーション的には脱出不可能な館の中にバケモンと一緒に閉じ込められているという閉鎖空間内でのホラーなわけだけど閉じ込められている奴らが緊張感あるのかないのか迂闊にアビゲイルに戦闘挑んで返り討ちにあったり全員がかりでギリギリアビゲイルを抑えれるかどうかなのに平気でパーティ分散させたり大人サイドがいい意味でアホの迂闊でそこもたくさん楽しませてもらえた。
人によってはとんでもないイライラポイントだろうけどそういうアホさ加減を求めて見に行ったクチなので僕は楽しかった。
ただ、アビゲイルに襲われてヒイヒイ言ってる大人達が見れれば良かったのに大人サイドの物語に中途半端に意外な展開が挟まってきて後半になっていくにつれて「う…うーん。確かに吸血鬼モノなら醍醐味かもだけど…」みたいな気持ちにさせられてしまったので僕のようにアビゲイル一強!大人達滅殺!!みたいなものを期待しすぎると同じように違和感を覚える可能性があるだろう。
その上ちょっといい話っぽく物語を待っていくのだがこれ笑うポイントなのか感動ポイントなのかわからんな!!ってちょっと頭バグらされてしまった。
「急にそんないい感じのセリフ言われても!」って。
しかし物語的には違和感が強まっていく一方で絵面はだいぶ派手になっていくので「…まァいいか!良し!!」と投げやり気味に受け入れてしまえた感というのも正直なところ。
ジョーイは汗や血でベタついていくせいかなんか色っぽくて思わず目を奪われれるし人体はギャグみたいに派手に大爆発してあたり一面血まみれになる場面が複数あるし謎のアクションパートも出てくるしと色々大雑把に豪快な感じになるので深いこと考える方が負けだぜ!!となれたんじゃないかなーと。
続編はいくらでも作れそうな設定だけどもし作るとしても今度もゴリゴリホラーにはならないだろうし更なるド派手人体大爆発アビゲイルスーパー可愛い映画方向を突き詰めて超進化した形で帰ってきて欲しいなと思う。
怖さはほぼ無し、(血の量は凄まじいが)グロはそこまでででもなく気安く見れるアクションホラーという感じなので気になっている人はあまりビビらずに観てほしい。
僕にはそこまで刺さらなかった終盤の展開も人によっては好物だろうし。
アビゲイルの可愛さで十分お釣りのくるいい映画でした、というお話。