「どっちだ?」
実家へ帰省したキルアを追いかけてきたゴン達を過激におもてなししたりアルカを巡る壮大な家族喧嘩の間に入ってキルアを助けまくった優秀なゾルディック家執事が一人。
冷徹なプロフェッショナルとして心の奥を見せないような振る舞い、その中に時折見えるキルアへの甘さという怖さと優しさの絶妙なバランスで成り立つそのキャラとしての魅力、そして初期から存在するキャラの一人と読者的には結構印象に残るキャラであり人によっては愛着を持つ者も少なくないだろう。
そして同時に再登場時の容赦無い展開に「冨樫ーー!!」と叫びたくなる、そんなキャラでもある。
今回はそんなゴトーについて。
人物像
ゼノ直属のゾルディック家執事の一人。
表向き柔和な表情と穏やかな口調で接する紳士のような振る舞いを見せるが気に入らない発言や態度を取る相手(レオリオとかレオリオとか)にはナイフのように鋭い気迫をもってキレてくるおっかない人。
ただしキルアには甘い。
(ゾルディック家の執事は大体そう)
業務的な態度・姿勢を崩さずその中で上手い具合に自然な形でキルアをサポートすなど頭のキレが結構良い。
そしてキルアに甘いこともやはり良く分かる。
「世の中正しいことばかりではありません。お気をつけて」と馬鹿正直なゴンにイカサマをもって世の中には正しいことだけがあるわけではない、不条理の存在を教えてあげるなどなんだかんだ言いながら根っこの優しさも見える良い男である。
キレた時の緊張感と空気のヒリつき方がちょっと凄いけどそれもスパイスである。
かなり見応えのある良いキャラだったのだがどこぞのバトルマニアピエロとタイマンしてしまったが故に退場するという残念な結果に。
(仮にタイマンじゃなかったとしても負けただろうけど)
ポックルやポンズ同様、度々起こる冨樫先生の容赦の無さを読者に味わわせたキャラの一人でもある。
この二人と比べれば随分優しい退場ではあるが。
当時ゴトーのあっさりとした退場に結構ショックを受けた人も多く、出番の少なさの割に何気に人気の高いキャラだったことが窺える。
(ヒソカへのブーイングもすごかったな…)
経歴
⁇⁇年
ゾルディック家執事になる。(経緯は不明)
⁇⁇年
アルカの能力を巡るゾルディック家内の騒動発生。(ゴトーは目の前でハサムが潰れる様を目撃)
キルアが天空闘技場に行ったのが6歳でそれから2年は天空闘技場に滞在していたことや過去描写のキルアが8歳以上には見えない(3歳から4歳以上?)ことやカルトが生まれていることなどを考慮に入れると大体1990年〜1993年のどこかのタイミングかなと考えられる。
「あの時はわかっているだけで67人死んだ…!!」
1999年
ゴン・キルア・クラピカを相手にコインを用いたゲーム接待を行う。
「オレがオレのやり方でお前らを判断する。文句は言わせねえ」
ゴンにゲームで敗北。
ゴンに現実の不条理さを説きキルアを託す。
2000年
ゴンの治療のためにアルカを連れ出すキルアにカナリアと共に同行。
車でゴンの下に向かう道中イルミの襲撃に遭い車が崖から転落。
キルアとはぐれる。(キルアが神速で走り去ったため)
カナリア・アマネと共にキルアを追おうとする途中ヒソカと遭遇。
カナリア・アマネにキルアの後を追わせ自身が残ってヒソカと戦闘するも敗北。
死亡。
「答えはお死枚」
ちなみに2000年発売のキャラクターズブックでゴトーが流星街出身であることが書かれているものの冨樫先生による監修がどの程度なされたものなのか不明なこと(パクノダが操作系になっていたりちょっと怪しい)、また本編内でその辺りの描写されていないことからあくまでそういう説があるくらいのものと個人的には考えるものとする。
戦闘力
弱くはないしむしろ強い方なんじゃないかなーとは思うけどどうも判断に困る微妙なライン。
まず戦闘力そのものを見せるよりも状況に合わせた判断力が光る描写が多く、それに加えて肝心の戦闘シーンがあっさりと終わったVSヒソカしかないためである。
とはいえ熟練の使い手であることは執事としての経歴の長さと併せて考えても疑いようはないし、ゾルディック家執事である以上基本的な戦闘力も高いだろうし念能力者としてもそれなりのレベルであることも推察できる。
敵の飛び道具を真面目に受けることをせず回避に徹しようとしたり自分の能力を無傷でガードするヒソカを見て「能力に関係がある」と判断しすぐさま戦法を切り替えるあたり戦闘判断力は鈍くないし(ヒソカが自分からバンジーガムの性質をネタバレしたからでもあるけど…)能力も「弾丸以上の威力」「部下を抑えてお披露目するだけのパワーがある」とヒソカから評価されるあたりなかなかのものである。
カナリアとアマネを抑えて自分が前に出るあたりから見ても執事たちの中でも上位の実力者ではあるのだろう。
ただヒソカクラスにはまるで及ばなかっただけで…
弱いわけではないのは間違いないのだが。
念能力者としての強さはゲンスルー未満サブバラ以上くらいの実力かなあなんて個人的には思ってたりする。
ちなみに実際にゲンスルーとゴトーが戦えばゴトーがリトルフラワーの射程外から一方的に蹂躙して相性勝ちする可能性が高いと思っている。
なのでこれは実際に戦ったら云々ということではなく念能力者としてのレベル・練度の話だと思ってほしい。
同じようにゲンスルーだけでなく近接必須の相手にはかなり刺さるため本当に相手が悪かったとしか言いようがない。
(ウボォーギンは別。あいつは多分コインも弾く。怪物だよ)
ついでに言うと場所も悪い。
バンジーガム活かし放題かつコインにとっての障害物が多い森林という環境下での戦闘。
本部以蔵と公園の中で準備ゼロで戦闘するくらいやばいことである。
なので絶対に弱いわけではないし大物食いし得る可能性も持っている念能力者だったが相手がヒソカなせいであっさり退場してなんかあんまり強そうに見えない感じになっちゃってるだけだと思う。
なので強い…はず!
能力
「全部!!撃ち落としてやる!!!」
強化系能力者
能力:名称不明(コインを弾丸以上の威力で連射できる能力)
文字通りコインをぶっ放す能力である。
具現化したコインではなく実在のコインを強化し射出している強化系能力。
それも一発ではなく複数のコインを弾丸以上の威力で連射可能。
独楽を扱うギドと同じように強化した物質で戦闘するタイプの強化系であり、コインに対して何かしらの強い思い入れをゴトーが持っているからこそ成立している能力だと考えられる。
制約としてはコインを使わなければならないため常にコインを持ち歩く必要があること、コインが尽きれば能力が使用不能なことくらいだろうか。
本物の銃火器を使えばよくない?ともなりそうだがゴトーの能力は弾丸以上と明言されるほどに威力の高さが保証されていること、コインなら銃の携帯が許可されていないような場所にも持ち込むことが可能なことからいつでも持ち込み&使用可能な飛び道具として有用であり、決して銃に劣るものではないだろう。
また、コインはただ射出するだけでなく「回転」の効果をコインに与えることも可能であり着弾したコインを回転させ防御した相手に追撃を与えることも可能。
(回転を使う場合コインの射撃速度がかなり落ちる模様)
作中ではその効果を使いバンジーガムの性質を逆に利用する形でヒソカの腕を絡め取ってみせた。
作中で披露されたのは「回転」のみだがもしかしたら他にも何かしらの効果を与えることができたかも?
総合的に見て銃火器の評価が上がっている現環境から考えれば「弾丸以上」と評されるこの能力はそれなりに脅威の恐るべき能力と言えるだろう。
ただフランクリンのダブルマシンガンやレイザーの球と比べると威力のスケールに低さを感じるので弾丸以上とは言ってもそれほど大袈裟に銃よりも強いわけではなく、比較すれば銃よりまあちょっと強いくらいの威力なんじゃないかなあと個人的には考えている。
それでも十分すぎる威力なわけだが。
旅団クラスなど作中上位の使い手とガチンコ勝負して勝てるわけではないだろうがそこそこの相手と戦うためだったり誰かを警護するくらいの目的だったら十分頼もしいくらいの能力かなという印象。
(現在進行形のB.W.号船内ではかなり活躍しそうな気もするのでやはり相手との相性・環境次第かなというところ)
めちゃくちゃ強い!!と褒めるほどではないが外敵からゾルディック家の人間を守る執事という自分の立場と任務を果たすためにゴトーによって考えて作られたそれなりに使える性能の能力、といったところだろうか。
キリコ
ゴトーの死後キリコがゴトーに化けている描写についても触れたい。
二つほど気になっている…というか色々ぼかされているので個人的解釈で飲み込んだポイントについて、それが以下である。
①どういう繋がりでキリコを頼ったのか
②いつまで化けるつもりなのか
①についてだが、まず誰がキリコに依頼したのか。
キリコが自主的に来るわけはないので誰かが頼んだわけで、これはおそらくカナリアだろう。
動機としてはキルアがゴトーの死を知れば巻き込んだ自分の責任であると抱え込んでしまいせっかく解放されたアルカとの旅にもいきなり陰が刺してしまうことになる。
それはカナリアにとって、そしてゴトー自身にとっても本意ではないだろう。
なんの気兼ねもなくキルアが前に進めるように何事もなかったかのように振る舞う、執事として主人を思ったからこそのゴトーの生存偽装なのだろう。
だからこそキルアとアルカの行く末とゴトーの心情を慮れるカナリアの判断だろうと思う。
じゃあカナリアは何故キリコを知っていたのか?
これについてはさらに想像が過ぎることではあるがキルアから聞いてその存在を知っていたからかなと解釈している。
ハンター試験のために一時グリードアイランドから離脱したキルアが試験合格後実家に帰省しているという妄想が前提の説である。
キルアが帰省した時に近況報告という名の冒険譚をカナリアに聞いてもらいそこでカナリアがキリコの存在を認識。
ゴトーの死をキルアにどう伝えるか悩んだ末にその時の話を思い出したカナリアがキリコの下を訪ねキリコもゴンの友達のためならと協力してくれた、ということである。
(グリードアイランドの合間にキルアが帰省していたとすればキルアがゼノのドラゴンダイヴを知っていることやゴン達と合流後ミルキ特注のヨーヨーを所持していることの説明もつく。)
ただ問題は母親の顔面を刺して家出するワンパク小僧がいちいち帰省するのか…という疑問が生じることだが。
そして②「いつまで化けるか」について。
いつまでなんだろうね…
わからん…
連絡が取れなくなっていたゴトーの姿を一時見せてあげてゴトーが無事なことをキルアに誤認させるだけなら既にアルカと共にキルアが旅立った選挙編エピローグのタイミングでまだキリコが化け続ける必要はない。
なのにゴトーの姿のままということはそこそこの期間化けているつもりなのだろう。
ということはもしも明確な終わりのラインがあるとすればキルアがキリコの変身に気づくか、キルアがアルカとの旅に何かしらの区切りがつき死んだ事実を話しても問題ないとカナリアが判断したタイミングのどちらかだろう。
まあ正直キルアならちょっとした所作からごとじゃないことを見抜いてきそうだなと思うのでカナリアから話すよりも早く判明するような予感はする。
そしてキルアが再びゾルディック家に戻る時があるとすれば何かしらの緊急事態、それこそアルカ絡みの何かがあった時くらいだろう。
アルカの能力は暗黒大陸の五大厄災に関連するとされておりキルアが暗黒大陸編に絡んでくる可能性が最も高いファクターにもなっている。
暗黒大陸とアルカ、この繋がりにキルアが気付き謎を解き明かそうとした時鍵となるゾルディック家に再び戻る可能性は極めて高い。
その時こそキリコ(ゴトー)と対面する時であり、ゴトーの死に気づく時ではないかと個人的には考えている。
自分に協力した流れで身近な人間が死んでしまった事実がキルアにどんな心境をもたらすか、キルアの物語がどこに向かっていくか、キルア周りにとって結構大事なイベントとして作用するのかもしれない。
(なんかさらっと流される可能性が高いような気もしてるけど)