「誰にもオレは止められない!!」
キメラ=アント編にて登場したキメラ=アント師団長の一人。
師団長クラスの怖さを教えてくれる要員その1として暴れたりアホなところを見せシリアスなシリーズに笑いも与えてくれた漫画のキャラクターとして優秀すぎる蟻。
今回はそんなヂートゥについて。
人物像
クラスに一人はいるであろう陽気なお調子者担当。
そして生粋の構ってちゃんでもある。
敵の発言を間に受けて簡単に行動をコントロールされたりするなどあまり頭がいいとは言えない、というか悪い。
アホの子ではあるがどこか愛嬌もあり憎みきれないところのあるやつである。
なんだか仲良くなれそうな友好的な蟻のようにも見える文章を並べてしまったが実際はかなり危険な蟻。
人間狩りを娯楽の感覚で行ったり通り過ぎざまに人間の頭やら指やらを食いちぎる超速通り魔であり、王が不在になった時には「オレはスピードキングだ」などと訳のわからんことを言い出し各地で大暴れしまくったりと人類視点で見ればれっきとした危険すぎる蟻である。

敵にも味方にも人懐っこくじゃれついてくるようなノリでバトルを仕掛けてくる困ったちゃんでもありモラウやゼノなど何故よりにもよってそこをチョイスしたんだこいつ…な強キャラたちにばかり接触する危機感の無さが災いして雑魚キャラみたいな死に様を晒してしまった。
もっと慎重、狡猾な性格だったらもう数十分くらいは長生きできたかもしれないのに…
経歴
2000年5月頃
キメラ=アントとして生まれ師団長として女王に献上する餌を集める傍ら人間狩りにも興じる。
ネフェルピトー指導の下行われた授与式で念能力に覚醒。
2000年6月中旬頃
王の巣立ち、女王の生殖能力喪失を契機に自身も王を目指して旅に出る。
「オレはスピードキングだ!誰にもオレは止められない!!」
ロカリオ共和国パタ市にて市民7名を捕食。駆けつけた警官隊の指も食らう。
「明日また来る」「もっと速いヤツを連れて来い」と言い残しそのままミエラ山に逃走。
翌日モラウ、ナックルがヂートゥを急襲。
ハコワレを食らいポットクリンをつけられ念能力の奥深さを思い知る。
2000年7月中旬頃
自身をハントに来た協専ハンターを退けつつ、王の下を目指し東ゴルトー共和国へ。
2000年7月中旬頃(国民大会まであと8日)
東ゴルトーへの道中、フラッタに忠告されたことで待ち伏せしていたナックルとシュートとの接触を回避。
ハギャと接触しヒナにポットクリンを除念してもらう。
さらにシャウアプフの助力で新たな能力(鬼ごっこ)を入手。
2000年7月中旬頃(国民大会まであと6日)
首都ペイジンにてモラウと接触。
ヂートゥの新能力によりモラウと共に念空間に隔離。
4時間後、モラウの策にハマり追い詰められたことをきっかけに二つ目の能力(ボウガンとクロウ)を発現。
しかしモラウの挑発に乗ってしまい敗北。
念空間を作る能力は制約により「二度と使用不可能」に。
撤退。
2000年7月中旬頃(国民大会まであと1日)
シャウアプフから新能力『紋露戦苦』を授かる。
2000年7月中旬頃(国民大会当日)
王討伐軍による宮殿襲撃の最中新能力を試すべく目についたゼノに接触。
談笑中上空から落下してくるシルバに全身を潰され死亡。
なんでよりにもよってゼノのところなんかに…
戦闘力
なんかあっさり死んだイメージがあるがちゃんと強い。
強い…はずだった。
キメラ=アントに共通して言えることだが生物としてのスペックが異様に高く、ヂートゥはその中でもスピードが突出しており作中キャラの中でもトップクラスに近い(と思う)。
特筆すべきはその脅威の脚力が瞬間的なものではなくそれなりに長い時間維持できると思われるところだろう。
ギャグみたいな扱いをちょこちょこ受けていたがモラウ級の使い手じゃなければかなり手に余る存在だったはず。
鼻先まで迫った銃弾を目視して回避する反応速度、モラウとナックルを相手に一方的に攻撃を当て続ける攻撃と脚の速さはその辺のハンターでは相手にならない強さだろう。
モラウからするとただ速いだけならいくらでも対処可能とのことだったがそれを言える使い手って結構限られるんじゃないかなぁ…
敵に追い込まれることで能力が自然に発現したりと念能力者としての成長速度も半端じゃなく、もしも念への理解度が上がっていれば恐るべき存在となっていただろう。
そうはならなかった、ただそれだけのこと。
予期せぬ攻撃を受ければわかりやすいくらいに狼狽えたり安い挑発に乗りあっさりとペースを乱されたり自分の性格に合わない能力を作ったりホイホイと作中屈指の強者であるゼノに喧嘩ふっかけたりと経験不足というかバカというか性格的な面が思い切り足を引っ張りポテンシャルはとんでもなく高いはずなのだが親しみあるところにその強さが落ち着いていたように思う。
生まれ持った才能はすごかったはずなんだが…
能力
「これでお前がオニだぜ?」
具現化系能力者
能力名 : ①名称不明(鬼ごっこ)
②名称不明(ボウガンとクロウ)
③絞露戦苦
ご覧の通り妙に能力が多い。
そして驚くべきことにこれらのうち一つも使いこなすことができないまま退場してしまった。
自分の適正にあわせ能力を設計しないとどうなってしまうのか、ちゃんと考えないとこんなことになっちゃいますという念の失敗例代表も飾れる美しいラインナップである。
順番に触れて行こう。
①鬼ごっこ
対象をサバンナを模した念空間に閉じ込める能力。
一見広大に見える念空間だが実際の広さは野球のグラウンドくらいで行き止まりには雲が描かれた壁が存在する。そして中央には8時間のリミットを告げる人間大の砂時計が存在している。(これらはいずれも破壊不可)
発動条件は相手に攻撃を当てること。
ヂートゥの速度を持ってすれば容易なことでありよほどの使い手でなければこれを回避するのは難しいと思われる。
この念空間に飛ばされた相手はヂートゥと鬼ごっこをして8時間以内にヂートゥに触れなければ外に脱出することができない。
構ってちゃんすぎる能力である。
また、描写されていないため詳細は不明だが8時間以内にヂートゥを捕まえられなければ脱出不可能なだけでなく、他にも何かしらの効果が発生するようだ。
制約は一度でもヂートゥが捕まればもう二度とこの能力が使えなくなること。
あとはヂートゥが対象に触れて攻撃することも捕獲判定になるため素手での戦闘が不可能になっていることくらい。
明らかにナックルのハコワレの影響を受けていることから対象に何かしらのデバフを与える効果があることは明らかだが、この厳しめの制約から考えると結構なことが起きそうではある。
念の長期間使用禁止くらいは最低限起きたかもしれない。
(ハコワレの影響を受けていることから真っ先に浮かぶのがこれだがヂートゥはハコワレの効果をちゃんと理解していないのでこの効果を思いつくかな?という疑問はある)
もしくは何かしら身体機能に永続的に障害を与える効果だった可能性もある。
流石に命を奪うレベルの能力ではないだろうとは思うが。
念を覚えて数ヶ月で作った能力にしては頑張った方(シャウアプフのおかげだけど)というか一見すごそうな能力ではあるが、ヂートゥの短気な性格や集中力が続かないという欠点にまるで合わない8時間という長丁場の設定と相手がヂートゥを追いかけなければならないルールを能力の中に盛り込んでいないがためにヂートゥが一人から回ってしまう状況が起きやすいなど肝心な部分の詰めが甘くなんとも中身スカスカな能力だなという印象が拭えない。
案の定モラウにあっさり捕まり二度と使用不能になってしまった能力だがもっと時間をかけて修行していればな…
あと頭いい人にもっとたくさんアドバイスもらえていたらな…
②ボウガンとクロウ
文字通りボウガンとクロウを具現化する能力。
鬼ごっこの能力を扱いきれずモラウに追い込まれたヂートゥが困難な状況を打破するために自然に発現させたもの。
(具現化するための修行って結構大変なのにその辺何もかもオミットしている恐るべき事実)
遠近どちらにも対応可能かつ、武器を介した攻撃のため直接相手に触れない鬼ごっこの制約に引っかからず攻撃が可能になったりと鬼ごっこの戦略の幅を広げることが可能になったと思われたが…
ボウガンはヂートゥの脚よりも遅く簡単に防がれてしまうしクロウの方も鬼ごっこで相手にわざわざ近づいてしまうことで相手に触られるリスクを高めているなど鬼ごっこの補助のために発現したのになんとも微妙な存在価値になってしまっている。
つけ加えるなら「具現化したボウガンで具現化した弓を撃つ」行為は放出系の範疇でありその効果は放出系が具現化系と相性が悪いことから踏まえてみても具現化系のヂートゥにとっては悪手である。
何かしらの制約を設けて弓の威力を上げることもなければ別に特殊な効果を付与されてるわけでもないただ具現化しているだけの弓をどれだけ撃ったところで鍛えられた念能力者に対しては毛ほどの効果もないだろう。
ヂートゥの脚力ならボウガンを打った直後に走り出してボウガンとクロウの同時アタックみたいなことも可能かもしれないがボウガンがほぼ問題なく対処されている描写を見るとあまり効果はなさそうではある。
クロウだけなら持ち味の脚力とも相性はいいとは思うのでこちらは使い方次第だったんじゃないかなとも思うが…
まあなんにせよボウガンとクロウどちらもそれなりの使い手にとっては別に警戒するほどの代物でもない雑魚狩り用能力くらいの位置付けに収まっている印象である。
せめて何かしら特殊なルールや効果が付与されたものだったならばわざわざ具現化した甲斐もあったのだろうけど、これもまたヂートゥの経験不足や知能不足が祟ってしまったかなというところである。
「具現化しないで実際の武器を使った方が早い」ケースの典型と言えるだろう。
③絞露戦苦
詳細不明の謎の能力。
鬼ごっこの能力を失った後シャウアプフの助力により会得した能力であり自分ですごい技であると吹聴していたがどれくらいすごいのかを読者に見せる前にシルバの無慈悲な一撃で退場してしまい本人以外誰も知らない幻の能力となってしまった。
リングにかけろでいうところのカサンドラの「とてつもないブロー」みたいなもんである。
個人的には懲りずにナックルの影響を受けた中身スカスカ能力をもう一度作ったんだろうと思っているが。

とまあ全体的にちゃんと自分の適性や好みに合わせつつもちゃんと頭を使って制約と効果のバランスを考えて能力を組み立てないとどうなってしまうかの念能力失敗好サンプルだったなというところ。
特に具現化系は頭使わないとダメなんだなと改めて教えてくれたよヂートゥ…
せめて強化系だったなら…
せめて具現化系でなく強化系だったら、もしくは複雑な具現化系をちゃんと運用できるくらい知恵が回る奴だったらあんな有様にはならなかったんだろうなとは思う。
ナックル、モラウとの戦闘時のヂートゥは念能力に対して無知だし発も使えなかったけどそれ以降の戦闘よりよほどイキイキしていた。
戦い自体はアレくらいシンプルな方がヂートゥの性格的にマッチしていたと思うのだ。
あのスピードで相手を翻弄し強化系の攻撃力で殴る蹴るしていればもうそれだけでとんでもない脅威だっただろう。
現実は具現化系でそれもまるで活かせないくらいバカだったわけだが。
頭がいい奴、もしくはそうでなくても機転が効く奴らだらけのHUNTER×HUNTER世界においてバカで機転も効かない、さらにはトドメに全然向いてない具現化系と冨樫先生も意図的だったのかなんなのかさておきとんでもないくらいのデバフがかけられその恵まれた才能が埋もれに埋もれまくった。
無慈悲である。
ジョジョ4部で億泰のザ・ハンドが強すぎるけど億泰がバカだから相殺されてる理論に通じる何かをヂートゥからは感じる。
上手くハマればこいつは護衛軍に次ぐ強敵になれていたはずなんだ…!
きっとそうに違いないんだ…