カイト(HUNTER×HUNTER)について

カイト 漫画

「いいハンターってやつは動物に好かれちまうんだ」

人物像

御存知ゴンがハンターを目指すきっかけを作った男。

見ず知らずのゴンを厳しく諭したり父親の話をしてあげるなど面倒見はかなり良い。怒らせるとしっかり拳が飛んでくる。
ちゃんと怖い。
キメラアント編で再登場するまで出番が無かったくせに初登場の1話で読者に強い印象を与え妙に根強い人気を保ち続けた恐ろしい奴。

くじら島の中で育ったゴンにハンターという職業の魅力を教えゴンのナチュラルボーンハンター魂に火をつけてしまった。
(裏でミトさんがキレ散らかすことなど露知らず)

ジン=フリークスを「目的」と捉えるとカイトというキャラは物語の「始まり」を象徴しているような存在だ。

経歴

出自に関してはスピン曰く「(カイトは)故郷がない。何処で生まれたか知らないから」。

ジンに出会わなければスラムで野垂れ死んでいただろう(本人談)とのことなので結構なチンピラだった可能性有。
ジンにケンカを売って返り討ちにあうとかそういうベタな出会いもあったかもしれないしなかったかもしれない。

作中において主人公であるゴンに大きな影響を与えた存在であるにも関わらず今だに謎の多い人物だが時系列でなんとか整理してみる。

????年 スラムでジンと出会った後どういった経緯があったかは不明だがジンにハントのイロハを叩き込まれハンターとなる。
(この辺りでG.I.に連れていかれてる筈。本人の記憶が朧気なのでプレイはほとんどせずにジンのゲーム自慢や後のゴンへの仕掛けの為だろう)

1996年 ジンを探し当てるというジンの最終試験の過程でくじら島にてゴン(推定9歳)と出会う。
この最終試験は裏ハンター試験に該当すると思われる。
(つまりこの時点でカイトは「多分」プロハンター)

裏試験は念の習得が修了条件だがジンの最終試験は本人の性質上もっとタチが悪い難易度だろう。
というかそもそも合格基準の「ジンを探し当てる」のハードルが高すぎるからそうなんだろう…多分。

彼が何歳でハンター試験に合格しどれくらいの期間ジンを探していたのかがまるで謎だが多分この最終試験の過程でスピンとスティンの故郷に立ち寄り、2人が鉱山を買い上げるための融資を行っている。
まあそんなことができる財力はハンターにでもなってないとできないだろうし。

1996年~1999年 ゴンと別れた後見事ジンを探し当てる。

185話でゴンと再会するよりも大分前であること、かつカキン国での調査が3年前から始まった事などからくじら島を出て間もなくジンを発見したと思われる。
正式にプロハンターを名乗って仕事を始めたのがここから。

カキン国でスピンらアマチュアハンターたちと共に生物調査(新種の発見と生態調査)に従事。

2000年 前述の通り185話にてカキン国でゴンと再会。(G.I.編終了。キメラアント編開始)

奇妙な生物の一部がサザンピースに持ち込まれた情報をもとにそのサンプルを入手。
解析の結果キメラアントであることを突き止める。また海流データをもとに本体がNGLに巣を作っていると推測しNGLへ潜入。
(ここのカイトの描写がハンターっぽくて好き)

多数のキメラアントを排除しつつ奥に進むもネフェルピトーの円に触れてしまいカイトらの存在が気取られてしまう。

ネフェルピトーとの戦闘にて敗北。死亡

その後何故かメルエムの双子の兄妹として生まれ変わる。
当初はコルトにレイナと名付けられ育てられたものの成長後はカイトを自称。
生前の仲間たちと共に変わらず行動を共にしている模様
(コルトこの一連の展開どんな感情で見守ったんだろ)]

カイトとの再戦を熱望するネフェルピトーの能力によって肉体「は」修復したものの魂が復元されることはなかった。
その肉体は兵隊蟻の訓練用人形として活用されてしまう。

206話の扉絵にてピトーら護衛軍に混じってカイトらしき人物がさながら4人目の敵幹部の如く並んでいるので最初の頃は玩具として大事にされていたが遊んでいくうちに壊れたり本人が飽きたりして結局捨てられたとかそういうことなのかもしれない。
(当初はカイトを敵として再登場させるつもりだったのかもと思ったり)

戦闘力

初登場時は刀を使っていたが再登場時には持っていなかった。失くしちまったかもしれねえ…

円の範囲は45mと作中キャラ(人間のみ)の中でもかなりの広範囲。
ピトーに興味を持たれたことからもかなりレベルの高い念能力者であることを窺わせる。

『殺る時は できるだけ素早く 静かにな』

具現化系能力者
能力名気狂いピエロクレイジースロット

1~9のスロットを回し出た数字によって武器が変わる能力。武器に付属するピエロが静かにしてほしいときも死にかけてる時でもいついかなる時もペラペラ話しかけてくる。
「全くもってうっとおしい」

「一度出した武器はちゃんと使わない限り代えられないし消せない」というのが作中で明確に触れられたデメリットであり能力を成立させるための制約として機能している。

2番の大鎌で『死神の円舞曲』サイレントワルツを出したときに「この大鎌で使えるのはこの技のみ。もちろん使わない限り消すことができない」と語っているためそれぞれの武器に『死神の円舞曲』のような必殺技が存在し、武器によってはそれが複数あるということだろう。

また、作中屈指の謎でもある『「ゼッテー死んでたまるか」って本気で思わねーと出ねー番号』もあるが詳細は不明。これについては後で触れていく。

出せる武器を任意で選択できないというのは戦闘に特化している能力としては結構なデメリット。
状況に応じて使い分けられるからこそのマルチウェポンのはずがギャンブル要素が加えられたことでスリリングなものになっている。

なんというか師匠であるジンの趣味趣向が多分に入ってる気がする…

ジン=フリークスとカイト
クレイジースロットの元凶ジン説。あると思います

上記以外では武器使用→武器変更のスロット再回転のタイムラグも結構なデメリットといえるがそのラグは本人の体術含む基礎能力で補うなどしていたと思われる。
(いかんせん戦闘シーンが格下相手に数回と大分少ないうえにその全てが瞬殺なため武器入れ替え描写が皆無すぎて想像するしかない)

気になるのはその武器の種類と系統。
作中で出たのは

② 大鎌 『死神の円舞曲』で360°範囲斬撃。キメラアントの一部隊がこの一撃で殲滅された。
③ロッド …のようななにか。用途は不明だが傷だらけのピトーを見るにアタリ武器だった可能性。
④ライフル ユンジュを瞬殺。どんな技が発動したかは不明。
得意武器(多分)の刀も1~9のどこかに入ってそう

カイトは2,4が出た時に「ハズレか」とぼやいている。

4は見たまんま銃であり放出系に該当する能力なので具現化系とは食い合わせが余りにも悪いため系統的な意味でのハズレ

2は『死神の円舞曲』の理屈が不明なので2つのパターンを仮定したうえで考察。
①360°方向に斬撃を放出する能力のパターン。こちらは4と同じように放出系なので系統的にハズレ
②刃の形状を変化させる変化系の斬撃であるパターン。変化系は具現化系と相性が良いがシンプルに被害範囲が広くなりすぎるのでカイト的にそれが嫌だったのでハズレ
個人的には②の方が好き

苦手系統の武器や好みと遠い戦法を取らざるを得ない武器を混ぜることで能力の強度を底上げしているのだろう。

そして問題の「ゼッテー死んでたまるかって本気で思わねーと出ねー番号」
これは諸説あり最後に使用した③ロッドがそうであるという声もあれば別の番号だとする声もある。
個人的には0や10など、1~9以外の数字が存在し上記の条件を満たすとその番号が解放される説を推したい。

カイトが生きているならそういうことだ、とジンが語っていることからその番号は転生能力だ、とする声が多くあるが果たして…

転生

「あたちの名前は カイトです!!」

はい、というわけでね。転生しました。
女の子に。
…なんで!?

ピトーに殺害された後何故か幼女転生したカイト。
ほんとに何故…

疑問点がいくつかあるものの、とりあえず整理しつつ考察していこう。
ほとんど憶測のようなレベルなので「お前の中ではそうなんだろうな」くらいの適当受け流しもしくはブラウザバックを推奨したい。

作中で起きたことをまとめると次の通り

  1. 死亡後カイトの肉体はピトーの能力で操り人形に
  2. カイトの魂はメルエムの双子の兄妹の肉体へと宿った
  3. 成長後はコアラが殺した赤髪の女の子の姿になっている
  4. 自我も記憶も失われずカイトのままである

なるほどわからん。

この4項目を眺めただけでもいくつもの疑問が浮かんでくるが…
まずそもそも何故転生できたのだろうか。

まず「転生」という事象について。
キメラアントの中に生前の人間だった頃の記憶を有しいわゆる「転生」を果たした個体がいくつか確認されておりこれに関して294話にてこう書かれている。

「精神力の強い者ほど過去の記憶が残る傾向にある。とりわけ既に念能力を身につけている者にその傾向は顕著である」

カイトなら一見条件は十分満たしているようにもとれる…が、作中転生したキメラアントは皆生前女王に捕食され蟻として生まれ変わるという過程を経ている。

ところが肝心のカイトは女王に捕食されていない

ピトーの戦利品としてその肉体は復元、訓練用の人形として活用されていたためキメラアント編で多く描かれた転生の条件をカイトは満たしていないのである。

捕食もされていない人間の魂が何故キメラアントの肉体に宿ったのか?
それも通常兵隊蟻として生まれるはずが何故女王の腹からメルエムの双子として?

この捕食されていないのに何故キメラアントとして転生したのか?という疑問に対して多く見られる考察が「クレイジースロットの能力で転生した」である。
しかしそれはどうだろう。

個人的には疑問である。

能力によって転生したと言われている主な理由は
ジンの「カイトに念能力を教えたのはオレだ!!技もな!!アイツの”気狂いピエロ”にはな「ゼッテー死んでたまるか」って本気で思わねーと出ねー番号がある!!アイツが生きてんなら多分そういう事だ!!」というセリフの存在によるところが大きい。

実際このセリフをそのまま受け取りそう考えるのが一番シンプルではある。
だがしかし吞み込みきれない僕のような悲しい生き物がいるのもまた事実…!!

クレイジースロットに転生能力があるか否か?で考えると「否」と答えたくなるからだ。
生物として規格外だったキメラアントはともかく人間の念能力者一個人が有する能力として「転生するための武器を具現化する」能力はちょっとぶっ飛びすぎているという印象が拭えない。

更にクレイジースロットに転生武器があるとして疑問点が二つ。

一つは「転生」が具現化系の能力の範疇に収まるとは思えないということ。
もしかしたらクラピカが緋の眼発現時のみ特質系へと系統変化するようにカイトもその武器を発動している間特質系になっている…とかならまだわからなくもない。

後天的に特質系に変化しやすい具現化系でもあるわけだし。けど転生なんて能力を成立させるには制約が軽すぎないかなあ

二つ目はカイトが能力を作る過程で「転生」を盛り込むだろうか?という疑問。
戦闘に特化させた具現化系能力なのは明白でありハントするために作られた能力だろう。
そこに狩りに関係のない「転生」を盛り込むだろうか。

しかもなんか負けた時のことを考えて作っている感があってカイトというハンターのイメージと一致しない(個人的に)。
もしかしたらジンが面白がってつけさせた可能性も無くはないが…

まあなんやかんやと上記のような理由をつけて「カイト転生能力持ち」は違うんじゃないかなと。

ただ特別条件下でしか出ない番号に「転生」とまではいかないまでも何か特殊な能力が備わっていたのでは?とは考えている。

さらに付け加えさせてもらうと、クレイジースロットに転生能力があるとしたらジンは「多分」なんて曖昧な言い回しはせずもっとはっきりそう言うんじゃないかな?という疑問もある。
ところがジンもカイトが女の子になったことを飲み込み切れていない様子
(情報を捲し立てているゴンのせいなだけかもしれないけど)。

「生きてるなら多分そーいうこと」とジンが言ったのはカイトがそれほど強く念じ闘い生きようとした事実をただゴンに告げるためだけである。カイトの死に関して自分を責めるゴンのそれは懸命に生きようと戦ったカイトへの侮辱だからだ。

「アイツはお前の代わりに犠牲になるなんてノミのクソほど思っちゃいねーからな」

ジンが気狂いピエロの能力のことまで出して言いたかった主題はこのセリフであり、能力で転生したから生きてるんだぜ、みたいな話をしているわけではないということだ。

つまりはジンがここで語ったのは能力と転生の種明かしなどではなくあくまでも仲間との向き合い方についてじゃないかな…ということ

個人的な考察としては「ゼッテー死んでたまるかと本気で思わねーと出ねー番号」の武器で発動した能力(あくまでも転生ではない)が死後強まる念として残りその効果が当時の周りの環境などあらゆる要因と重なって結果的に転生というイレギュラーを起こした。である。

かなりざっくりだが。

(巣に持ち帰られた死後の念付きカイトの死体が近くにいた女王の母胎もしくは肉団子にされた赤髪の子に影響を与えた?的な)

肝心の死後残ってたその能力はなんやねんって話になってしまうので大分無理のある解釈だなと我ながら思うが…

つまりまあクレイジースロットの「死んでたまるか」という念は転生の答えそのものではなく、イレギュラーな転生という結果を生み出すためのいくつもある材料の一つにすぎなかったのでは?ということが言いたかったのである。

コアラとカイトの会話もかなり重要だ。
「オレはこうしてここにいる。そしてくり返してる。全く別の姿なのに「オレ」として同じようなバカをまたくり返してる」 

転生し姿形を変えながらも記憶や自我を引き継いだ者同士の問答であり、ここで語られる死生観はその現実味を感じさせない粗っぽい作画も相まってかなり印象に残る。

「魂はおそらく「小さい」がくり返すだけのエネルギーを持っていた」
「くり返したりやり直したりしなきゃいけないのは生きてる内に心に与えるべき何かが足りなかったからだと思う」


輪廻転生のそれっぽい考察をコアラが語ってくれた。
なるほど確かに、と感じさせるがコアラの「後悔」というネガティブな感情を前提としかつ主観によりすぎているものなのでこれがそのままキメラアントやカイトの転生のロジックとなるかと言えばまた違うような気がする。

確かに転生は存在し実際にカイトの身に起こった。
ではカイトの心に与えるべき足りない何か(後悔)はあったのだろうか。

「これからずっと「これしかない」って生き方をするんだ」
そうコアラに投げかけたように「これしかない」生き方をカイトはしていたはずだ。

ゴンとキルアを逃がすために闘いその結果死んだ。後悔していただろうか?そこにあったのは「死んでたまるか」という念だけのはず。

それでも彼は別の姿に生まれ変わった。

結局転生なんてものは不可解な奇跡でしかないのではないだろうか。
(個人的にはコアラの考察好きだけどそれはそれ)

ここで一番重要なのは…
もし転生でやり直しができてしまう能力を本当にカイトが持っていた場合ここでのコアラとの会話が余りにも安っぽくなってしまわないだろうかってこと。

「自ら死んでリセットなんて誰が許すか」というセリフが特にもうふわっふわになってしまう!
ロジックは不明だがカイトは転生した。そして「これしかない」って生き方をこれからもしていくんだろう。

「苦しくても生きてみるよ「精一杯やった」って死ぬ時思える様に」

…長々とここまで書いておいてアレだがゴンさん登場回前話のゴンVSピトーが今にも始まろうというラスト見開きについての「ゴンの髪伸びてる!」という感想を見かけて「おいおいあれはオーラが迸っている表現だろまじかこいつ」と思っていたのに蓋を開けたらマジで髪が伸びていて絶句級赤っ恥をかいた過去があるので正直不安しかないのが辛いところである。

今後

転生カイトのクレイジースロット
そもそもクレイジースロット使えるんですかね今のカイト←(追記:冨樫メモで「消失」とあったので能力使えなくなってそう。悲しい。)

現在暗黒大陸編(王位継承戦編)が継続中だが果たして今後カイトの出番はあるのだろうか。
一応ゴンに「助けが要る時は連絡する」とは言っているが…

あるとすれば暗黒大陸編でゴンが参戦するタイミングあたりだろう。
キメラアント編の後遺症で念能力を使えなくなったゴン。
パリストンが所持する5000体のキメラ。
行方不明のジャイロ。
キメラアント編の爪痕はまだ深く、今後暗黒大陸やジャイロ、ゴンを通じて絡んでくる可能性はなくはない。

というか最近の展開のような念能力バトルらしい知能戦をするカイトが見てみたいです
カイトの出番待ってます。

タイトルとURLをコピーしました