「手前はいい奴だ。ぶつかり合えばそれが理解んだよ」
キメラアント編で初登場し討伐軍の一員としてゴン達と共に戦ったビーストハンター。
プロハンター中堅クラスの経験値の高さ、念能力者としての確かな強さを掲げゴンの前に立ちはだかる障壁として、そして頼れる仲間として長きに渡って本編で活躍してくれた。
(キメラ=アント編の休載の量と長さ、そしてそもそもキメラ=アント編自体のボリュームと密度が高いことなどが相まって個人的にすっごく長いこと付き合った気持ちになっている。)
今回はそんなナックルについて。
人物像
どこからどう見ても現役ヤンキー。
行動も結構バカっぽいところが見られ喧嘩上等な脳筋パワープレイヤー…
かと思わせてオーラを数値化して計算しながら戦うなど意外と頭が良い場面が多数見受けられる。
インテリ系不良。あと泣きやすい。
面倒見がかなり良く飼い主のいない犬に餌を与えて懐かれてしまったり簡単に倒せる決闘相手のゴンをわざわざ強くしてあげようとしたりと相当の甘ちゃん。
しかしそれがナックルの1番いいところである。
(本人曰く甘いのはモラウ譲り)
キメラアント討伐隊に志願したのも「討伐させねェため」「ハグれ者を切るっていうやり方が気に入らねぇ」とキメラアント相手にこいつ正気か?と思っちゃうような理由だが実にナックルらしい。
ビーストハンターになったのも「話すと長ェな。イヤなことも思い出さなきゃなんねェし」とはぐらかすあたりハンターを志すにあたって何かしらあって討伐対象にすら甘っちょろい考えを持つようになったのだろうがバックボーンがすごく気になるところである。
相手を倒すよりも対話し理解しようというスタンスが一貫しておりその考えはナックルの能力にも反映されている。
これに関しては後述する。
仲間が無下に扱われることに強い怒りを覚えその際には理を捨てた行動を取るなど人情味の強い面が目立つ。
…が、そこが欠点となることもありユピーとの戦いでのとある行動は読者の間で物議を醸したりもした。
経歴
????年 小学校卒業日。仲間を逃すため警官を殴り倒しパトカー4台、白バイ2台を相手に脚力のみで一昼夜走り回り逃げ仰る。
????年 モラウの弟子、そしてプロハンターになる。どちらが先かは不明。裏試験のことを考えればハンターになった後モラウの下で念の修行を積んだのが自然な流れだがハンターを志すに至った経緯にモラウが関わっている可能性もなくはないと個人的には思っている。
2000年 ゴン・キルアとNGL行きを賭けた決闘を行い勝利。
NGLにてカイトを回収。撤退。
モラウと共にNGLを抜け出したヂートゥと交戦。
倒し切れなかったもののポットクリンをつけることに成功。
キメラ=アントの王メルエムを討つためにシュートと共に東ゴルトー共和国に潜入。
大会当日午前0時、ゴン、キルア、メレオロン、イカルゴ、シュート、モラウとともに討伐軍として王宮に突入。
(シュート、メレオロンと共にユピーをメルエムから分断する役割)
ユピーと交戦しポットクリンをつけることに成功するもモラウの命と引き換えに能力解除を要求されハコワレ解除。死を覚悟するもユピーに見逃される。
「負けた…完全に…」
役割は十分に果たしたとしてノヴ、モラウと共に撤退するかの選択を迫られるがまだやれることはあると判断しメレオロンと共に宮殿に残留。
シャウアプフとの交戦に臨むもメルエムの身に何かが起きたことを察したシャウアプフが飛び去っていったため不戦。
決して超えることの出来ない壁をプフの表情に見た
その後さらに宮殿に戻ってきたメルエムのオーラに絶望し撤退しようとするがメルエムによって気絶させられ捕らわれてしまう。
しかし結局メルエムと護衛軍がそのまま爆弾の毒によって死んだため無傷での生還を果たす。
その後シュートの病室でシュート、イカルゴ、パーム、メレオロン含む5人でゴンから送られたコクチハクチョウの映像を鑑賞している姿が確認されておりこれが本編での最後に登場した姿となっている。
こうして書き並べると何度か命を落としかけているような危険な場面があるにも関わらずほとんど無傷で生き延びたの本当に運が良い。
本気で「あ、ナックル死んだなこれ」と思う瞬間があったからね。
幸運EX。
戦闘力
強い。
G.I編終了後のビスケに鍛えられて結構強くなっているはずのゴンとキルアをまるで問題にしないくらいに強い。
能力発動以降の描写がほとんどないまま勝利しているあたりあのゴンを完封した可能性が高いという…
また戦歴は五千を超えるなど戦闘経験はかなり豊富。

ゴンの背後をあっさりと取るその体術はカイトにも引けを取らず、そこから繰り出される攻撃は堅を解いたら即KOされるとあのゴンに言わせるほど。
オーラの流れを読むことで相手の考えを予測し守りが薄いところをピンポイントで攻撃し効率的にダメージを蓄積させるなどテクニカルな闘いも出来る。
バランス良く強いナックルだが自身が思う最高の長所はまさかの「逃げ足」。
警官を殴り倒しパトカー4台白バイ2台を相手に脚力のみで一昼夜走り回り逃げおおせたという小学生としてはアウトローすぎるトンデモエピソードが語るようにその回避能力とスピードはアホほど凄い。
最高速度を維持し走り続ける持久力はチーターのそれを遥かに凌駕するなどという眉唾設定だがユピーの縦横無尽で不規則な攻撃をほぼ全てその足でかわし続ける姿を見せられたらまあそうかもしれんな…と言わざるを得ない。
とんでもパワーアップしたゴンさんとかキルアとか強すぎるキメラ=アント達のせいで終盤はちょっと霞がちだがユピーと何度も直接戦闘しているにも関わらずメルエムに気絶させられるまであの戦場をダメージらしいダメージをほぼ受けないまま走り抜ききっちり生還を果たしているので結構ちゃんとすごいハンターではないだろうか。
能力
「早く返さねーと、トぶぜ…!」
具現化系能力者
能力名: 天上不知唯我独損
殴った相手にオーラを強制的に貸す能力。
貸したオーラは10秒毎に1割ずつ利息が加算されていく。
また、利息は時間経過だけでなくオーラを使えば使うほど更にかさんでいくしナックルから追撃を受ければその分借り入れオーラも増えていく。
相手は利息含む借り入れオーラが自身の総オーラ量を超える前にナックルにオーラを利息分含め全額返済しなくてはならない。
もしこれに失敗すればポットクリンがトリタテンに変化、30日間“絶”状態になってしまう。
オーラを貸されている間、マスコットのポットクリンが付き纏い利息のカウントを告げ続ける。
ポットクリン自体は無害でありこれを攻撃しても排除や能力解除は不可能。
また、ナックルから100m以上離れると利息カウントをストップするがポットクリンはどこまでも付き纏い続けナックルの100m圏内に近づくと再び利息カウントを再開する。
副次効果としてポットクリンがついている限りその相手の大まかな位置も把握することが可能。
便利すぎる。
具現化系能力なのにどこまでもポットクリンがついていくのは放出系が過ぎるんじゃないか?と思うかもしれないがあくまでもポットクリンは利息カウントを告げるだけの無害なマスコット、つまりはハコワレが発動していることを視覚化しているだけのものに過ぎない。
そもそもポットクリンの存在はハコワレが発動したことを相手にも気づかせてしまうし半径100m圏内に入れば利息カウントを再開するシステムからナックルが近くにいることを相手に知らせてしまうというナックルにとってのリスクという役割も担っていると言える。
相手にとって無害かつナックル自身のリスクという条件下だからこそ成立している長距離追尾なのではないだろうか。
ハコワレの欠点を挙げるなら、実力差のある、つまりはオーラの絶対量が大きい相手との戦闘ではトばすまでの時間が長くなるという点。
これはユピー戦がまさに当てはまっていたがシュート、メレオロン、モラウなど仲間達のサポートによってカバーし、実際のところ破産寸前までユピーを追い詰めている。
やり方次第では大物食いも可能ということでもある。
攻撃を一発当てるだけで発動し、レーダーにもなり射程にも優れているかなりちゃんと作られた能力だと思う。
モラウのアドバイスを受けながらナックル自身で色々考えて練り上げたであろう気配を感じる。
修行シーン見たい…
後のB.W号編に登場した無敵型に該当する能力かどうかは無敵型自体の詳細が語られていないため要審議。
「条件を満たすと攻撃が効かなくなる」という無敵型の特性はハコワレにも当てはまっているので該当するような気もするが。
気配も何もなく近づきヒットアンドアウェイでボコスカ殴ってトばして絶状態に追い込むことが可能なメレオロンの神の共犯者とのコンボは実に凶悪でユピーのようなオーラが馬鹿みたいに多いバケモノ相手には苦戦していたが普通の念能力者相手なら割と完封できそうな反則技だと思う。
今後使われることのない禁止カードだろう。
(そもそも神の共犯者とのコンボはどれもこれも凶悪なんだけど…)
ビーストハンターなのに何故対人系の能力なのか?と疑問視されることもあるが、ナックルの信条から見て討伐よりも保護を目的としたハントがメインだろうことを考えれば動物を害する密猟者などとの戦闘を目的として能力を作った可能性が高いだろう。
また、ハコワレの「自分にも相手にも致命的なダメージがほぼ入らない、最終的には相手を無傷のまま無力化する」といった性質からも相手とまず真剣にぶつかり語り合いたいというナックルの性格や信条が色濃く反映された能力だということが感じ取れる。
優しさと合理性を兼ね備えた実にナックルらしい能力だ。
VSユピー
ナックルというと一部ファンの間で討伐軍の戦犯なんて扱いを受けることもしばしばあった。
その原因となっているのが王宮突入後のユピー戦だ。
まあ簡単に言ってしまえばシュートとモラウがその身を削りながらユピーを破産させるために時間を稼いだのにナックルが私情を挟みハコワレを解除、破産寸前まで追い込んでいた後少しで倒せるはずのユピーをみすみす見逃してしまうことになったからだ。
確かにナックルはその行動の結果、単騎でも驚異的な戦力である護衛軍の1人を野放しにしてしまった。
これの何がやばいってそもそもユピーの要求を飲んだからと言ってモラウを見逃してもらえるとも限らないということ。
ユピーからすれば別に約束を守る理由もなくポットクリンが解除された後一人一人殺して回っても構わなかったはずであり、近くにいるゴンやキルア、イカルゴらをも危険に晒す討伐軍の一員としてはやってはいけない判断だった。
まあそこ非難する声があがるのも無理はない気はする。
だがもしもナックルがポットクリンの解除をしなかったらどうなっていただろうか。
ユピーを破産させ倒すことに成功はするかもしれないが間違いなくモラウは命を落とすことになっただろう。
討伐軍は結果的にネテロ1人の犠牲で済み他のメンバーは奇跡的に全員生還している。
だがナックルが感情を押し殺し冷静な判断をしていた場合モラウがノブと乾杯する結末はなかったのだ。
そしてユピーがもしもナックルに倒されたなら当然ユピーが王の元へと向かうこともなくなる。
そうなるとネテロVSメルエムの爆心地にユピーが入りメルエムを救助し、プフと共に細胞を捧げメルエムが復活することもなくなる。
(まあプフ単独であったとしても「生ける者の侵入を拒んでいた」と評された爆心地に無理やり突っ込んでいって命と引き換えにメルエムを助けた気はするけど)
メルエム復活がない場合メルエムとコムギがあの美しい結末を迎えることもなかったということであり、ある意味キメラ=アント編トゥルーエンドに重要な選択肢をナックルは意図せずしていたということになる。
本人はそんなこと知る由もないけど。
個人的にはナックルらしい判断で結構好き。
シュートがボロボロになっていく様をただ見ていることもできずに自分の姿をユピーに晒したことも傷ついたモラウを見捨てることができず能力を解除してしまったことも散々「甘ちゃん」として描かれてきたナックルらしい判断でありそのキャラクターがちゃんと生きている感じがして好きなのである。
ここで非情に見捨てていたらそれまでの描写とのズレを感じた気がするので個人的にはユピー戦はかなりしっくりくる結末だった。
ゴンやネテロなど情を捨て去った判断をする者がいる一方でナックルやキルアのような感情で体が動いてしまう者もいる。
そこの対比もキメラ=アント編の面白さかと個人的に思っていたりするのでそういう意味でもナックルというキャラクターとしては正しい描かれ方なのだ。
さらに言えば、ユピーが「敵を称賛する」「敵との約束を守り見逃す」なんて当初の暴力的なだけだった姿からは想像もつかない選択を採るようになったことも「敵の何かに負けたくなかった」とユピー自身が吐露するようにその心境に大きな変化があったことが理由だ。
これはナックル達との戦いが原因であることは明らかであり、奇しくも相手を倒すことよりもぶつかり合うことで理解し合うことに重きを置くナックルの信条そのままな戦いがもたらした結果であると思う。
任務としては判断を間違ったかもしれないが人間性を捨てず自身の信念を持って戦い続けたその在り方はナックルらしくとても好きな戦いなのである。ユピー戦。
まあでもあの後絶対モラウに殴られただろうな…
そんでシュートもろともハグされたと思う。
今後
今後ナックルが登場することはあるのだろうか?
なくはない…むしろ登場する可能性は結構高い気がしている。
活躍の場が与えられるかは別として。
ハンター総出で行う暗黒大陸攻略ミッションに師匠のモラウも仮想新大陸から暗黒大陸の門までの海路限定とは言え出番があることが示唆されているので弟子のナックルにもついでに焦点が当たる可能性はある。
もし暗黒大陸にまで行くことがあればそれこそビヨンド一派との戦闘は不可避なわけでレーダー代わりにも使えるハコワレはかなり便利な役どころがありそうだなとは思うがキメラ=アント編で散々焦点が当てられた以上今更ナックルを活躍させるか?いや、しなさそうだな…と思っちゃうのでちょい役で暗黒大陸編に絡むぐらいに収まる程度かもしれない。
とは言え出てくるチャンスは大いに残されているので今後の展開に期待したいところ。
まあ連載再開すれば…の話だけど。
B.W号編のボリュームを考えると果たして暗黒大陸という本題がいつ始まるのか気が遠くなりそうになるけど、これ以上は脱線しそうなのでやめとこう。
