行きなさい工藤君! 戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版序章 真説・四谷怪談 お岩の呪い 感想

コワすぎ四谷怪談 その他

異世界に引き寄せられるかのようになんやかんやと再集結したコワすぎ取材班がお岩さんの呪いの謎を追うことで異世界に再び挑むことになる何やら壮大さが増してきたPOVホラードキュメンタリーシリーズ5作目。

今作も物理と怪異がバランス良くぶつかり合う気持ちのいい作品だった。

前作では真壁先生に押され気味で暴力少な目だった工藤さんも今作では暴力を取り戻しなんなら態度も大分悪い。
これだよこれ!

呪いの根本にある「何か」、そして世界で起こりつつある「何か」、超常の一端どころかど真ん中を駆け抜ける映像を今作でも楽しませてくれた。

最初は笑えるものを求めてやってきたシリーズなのに普通に続きが気になっちゃってるな…

今回はお岩さんが題材とこれまた超有名どころ。
お祓いをしないで四谷怪談系の撮影をすると女優さんが怪我をするみたいな都市伝説は確かに耳にしたことがあるようなないような。

子供がクラスメイトのみんなを怖がらせるために作ったでまかせの怖い話がみんなの恐怖心やイメージも重なり実態を伴った怪異として実際に誕生する、というのは割と怪談話としては定番だと思うが我らがコワすぎはそんな言説を四谷怪談と結びつけ「四谷怪談はフィクション、そこに呪いが生まれるのは四谷怪談への恐怖やイマジネーションの集積が生み出したなにかである」「だから作者の鶴屋南北はそれを狙って四谷怪談を創作した呪術師である」とまで飛躍させるあまりにも面白い仮説の組み立てをしていて「いや普通にワクワクするな…」と感心してしまった。

世に存在するホラー作家や監督たちも呪術師かもしれないってことでしょ
ワクワクしない方がおかしい

お岩さんの呪いがどんなもんかというと憑りつかれた女優の家が刃牙ハウスくらい近寄りがたいデザインにアレンジされたり憑りつかれた人が包丁持って追いかけてきたりとリアルに近所にいたら嫌なタイプの影響を及ぼしていて絶妙な嫌悪感。
(口裂け女もこんな感じで変質していったんだろうなあとか思ったり。)

包丁持って追いかけてきたのは工藤さんと市川が玄関の前で大声で口論していて頭に来たからかもしれないが…

人の家の前で声張り上げながら暴力をナチュラルに振るう工藤さんも大概近所にいたら嫌な存在なので危険度はお岩さんの呪いとトントン

お岩さんの呪いなんて精々目が腫れて頭おかしくなる程度の呪いかと思いきやこいつがかなりの強敵でそこは四谷怪談という長い年月の中で人々が四谷怪談に対して積み重ねてきた膨大な恐怖の集積があるからこそこれくらいしつこく粘り強い強さなんだろうなと納得できる説得力が中盤のイマジネーションの集積説によって持たされていてそういうところ地味に上手いんだよなコワすぎ…と思ったりなんかも。

そしてそんな呪いと激闘を繰り広げた有能浄霊師、宇龍院道玄
名前がいかつい!

タバコ咥えながら不遜な態度を取るそのふてぶてしい様には流石にというか当然のように工藤さんもピキピキ。
ある意味相性が良い。
しかしその実力は本物。

あまりの強さにお岩さんも机をがたがたしたり「イ…ワ…」と自己紹介したり襖で英霊召喚ごっこするくらいしかできていなかった。

道玄とお岩さん
道玄のエイッに呼応するかのような市川の絶叫とともに召喚されるお岩さん。襖に張り付きくるくる回るその様は完全に某ソシャゲのそれ。

なんなら一番道玄の邪魔をしていたのは大騒ぎしたり野次や質問を飛ばしていた工藤田代ペア。
大の大人二人が大声で叫んでちゃんと怒られる恥ずかしい姿を見事カメラは捉えていた。

悪態をつくもののなんだかんだで工藤さん達を助けてくれるあたり金をくれたらその分どんな危険でも仕事はこなすというプロのプライドのようなものを感じてこれまた良いキャラしてる道玄。

レギュラー化しないかなこの人…

と、思ったらした

やったー!追加戦士枠だ!!

僕はね、お前にもこれを期待していたんだよ犬井

…犬井!?

し…死んでる…

嘘だろ!!

とまあ知らぬ間にまさかの退場していた犬井。

前作のトイレの花子さんのDVDを見てこの世界に起こりつつある何かを悟り自分の命を捧げて怪しげな汚い袋のような呪具を遺し工藤さんに希望を託して逝ったわけだが…何かわかったんならもうちょい細かく教えてくれ!!

この世界の能力者たちは言葉が足りねえ!

口裂け女の呪具を入れるとその呪力が増大するという効果を持った袋。
呪力どころか増毛効果もあるのかどんどん大きくなる呪具に工藤さんも「大きくなっちゃった」とご満悦。
新しい玩具を買ってもらった男の子かお前は。

でもまあ口裂け女って元々は犬井の流派の出でその呪具の扱い方も本家の犬井が最も精通しているはずなのでその効果をフルに発揮するための方法を犬井が提示するのはかなり丁寧な流れでコワすぎこういうところあるよなと改めて感心。

適当にパワーアップさせることも出来ただろうにちゃんとそのルーツの中にいる犬井を絡ませ説得力を上げるのは理に敵いすぎている。
やはり上手い…

市川さんは今作(まさかまさかの)ヒロインみたいなポジションにいたせいで思い切り呪いの被害を全力で受けてしまった。
工藤さんに守る宣言されたり「責任取ってくださいよ」なんていかにもなセリフを吐いたり普通ならもうラブロマンスの予感なんだが流石はコワすぎ、そんなセリフを吐いても一ミリもその可能性を感じさせない。

異世界に吸い込まれた市川さんを助けるシーンは流れるBGMの雰囲気も相まって…

…うーん、エヴァ!!

誰か『翼をください』を流してみて欲しい

前作のような犠牲を払う結末をぶっ飛ばすかのように呪具で道を切り開き仲間の命を救うという素晴らしいシーンなんだが…いや…これは思い出してしまう!

綾波ならぬ…
市川を返せ!!だ!!
行きなさい工藤君!!だ!!

まあそれはそれとして、工藤さんが真壁先生の死で参っちゃってたのはかなり意外だった。
市川と田代はともかく工藤さんがそんなまともな神経をしているとは…

投稿者何人か行方不明になってもオラオラしてた男の内面に大きな変化が見える…!

でもまあ確かに真壁先生ちょっと不思議なふわふわ発言多かったけど工藤さんとちゃんと向き合ってくれていた数少ない人物だったようにも思えるしもしかしたら僕が思っていた以上に真壁先生の死はダメージでかかったのかもしれない。

何気にちゃんと「先生」と呼ぶ相手だったしな…

市川を助けるために躊躇わず異世界ダイブしたり刺されそうな田代を助けるために逃げていた足を戻したりなど真壁先生を死なせてしまったことへの後悔のような感情がその奥底にありそうな行動の数々に作品の地続き感があって良かった。
(自分が怖いときに市川を前衛に据えるところは変わってなかったのでとんだ勘違いかもしれない)

個人的には残酷な結末を迎えたトイレの花子さんに対しての工藤さんのアンサー的作品のような気がしてこの二本はセットで扱っても良いような気がした。
シリーズ的には劇場版の前日譚的位置付けなのでそんな意図はないのかもしれないけど…

トイレの花子さんを踏まえるとちょっとグッと来ちゃったなぁ

そして次作は劇場版か…
エヴァ破をやったから次は
「工藤君あなたは何もしないで」
みたいなことになっているかもな

最後に一つ

道玄さんウ〇コの上に座ってない?大丈夫?

道玄(コワすぎ)
位置が微妙にずれている気もするし乗っている気もする。何にせよそんな際の際に座らなくても…という余計な心配をしてしまった。
タイトルとURLをコピーしました