今この瞬間こそ運命!! 戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章 感想

コワすぎ最終章 その他

コワすぎ、そしてオカルトも超えて遂にココに辿り着いた。

最    終    章

田代さん一人で鬼神兵に立ち向かえるのか、オカルトがどうコワすぎに繋がるのか、どうやってこの気づいたら壮大になっていた物語を着地させるのか、期待と不安が入り混じりながら見届けましたよコワすぎ最終章!

…なるほど

オカルトの続編じゃねーか!!

色んな人がオカルトを見ておいた方がいいと言う理由がよくわかった。
オカルト見ててよかった!!

とまあその辺の話は一旦置いておくとして、楽しかったです最終章。

最終章の名に偽りなくこれまでの物語を総括する最高の物語を見ることができた。

最初からこうやって閉じる構想があったとしてもなかったとしてもよくぞこのストーリーをここまで綺麗に着地できるものだと感嘆するほどに満足度が高いエンディング。

爽やかな気持ちになれるくらい心地いい余韻に「コワすぎでこんないい気分になるのなんか悔しいな」みたいな気持ちも出てきてよくわからない感情になってしまった。

今回の最大の特色は編集された映像ではなく生配信であるというところだと思う。
過去に起きた出来事をレンタルないし購入したDVDを視聴者が鑑賞してきたのがこれまでのコワすぎなら、最終章は田代さんのカメラを通してリアルタイムで観測する目撃者の一員になれるということ。
いわば体験型コワすぎ!!

終末へと向かう世界とそれに立ち向かう田代さんを見届けるリスナーの一人になったかのような映像体験は今までとは全く毛色が違う形式ではあるものの味わえるジェットコースター感覚はこれまでの比ではなく最高に楽しいものだった。

これまで観測者、撮る者としての役割からほとんど逸脱することなく在り続けた田代さんがプレイヤーとして参戦することになったおかげで何があっても「カメラで撮ること」を止めなかった田代さんの映像への執着・異常性が浮き彫りになりよりキャラクター強度が引き上げられ最終章にしてやっと工藤さん市川さんに並ぶ存在になったように感じた。

これは多分『オカルト』を観ていたからというのもあると思う。

オカルトに出ていた白石くんとコワすぎの田代さんが世界線が異なるだけのほぼほぼ同一人物であるとするなら、大犯罪を止めるよりもそれをカメラに収めることを優先した白石くんの狂気も相まってより田代さんの映像への執念が補強されたような気がする。

振り返ってみればこの人滅茶苦茶ビビりはすれど今までカメラ放り投げて逃げるようなことはしなかった。
なんなら包丁持った女に刺されそうになろうが学校の階段を猛ダッシュしてようが異界に飛んで行こうが映像最優先だった。
異常だよ異常!

オカルトと最終章を経てコワすぎを振り返ることで田代さんのヤバさにやっと気づけた!

工藤さんと市川さんを助けたい、事件を解決したいというのは当然本心だろう。
だけどその中に映像への執着、おもしれえもんを撮りてえ~という狂気が介在していたんじゃないかな。

ホームレスから強盗する様子も女性からパンツを奪う様子も他人に撮らせてまでカメラに収めようとするし指を詰めるときもわざわざ自分にカメラを向けてその様子を映すし銃で人を撃つ様子も飛び散ったブツを手でこねくり回す様子もぜーーーーんぶカメラに収めようとする。
自分の頭を撃たれるよりもカメラを壊される方を恐れるバグリ散らかした優先順位。
指が二本無くなってカメラを持ち辛いからってテープで手とカメラを固定してまで撮ろうとする根性。

イカレてやがる…

工藤さん不在で大人しい映像になるかと思われたコワすぎ最終章は田代さんの狂気によって相変わらずぶっとんだものになっていた。

そしてそんな田代さんを支えるナビゲーター兼相棒ポジションを見事務め上げた男、江野祥平まさかの参戦。

『オカルト』で異世界に飛ばされた後永遠にあの中をさまよい続けているものとばかり思っていたのにいくつもの修羅場を超えた戦士のように頼りになる貫禄を纏わせてまさかのクロスオーバーを実現してくれた。
オカルト見といて良かった…(2回目)

江野祥平
あのろくでもない男はどこへやら、頼りになりすぎるレジェンド級の存在としてやってきた江野くん。触媒は田代さん。

厳しく田代さんを急かしながらも時折見せる気遣いや思わず「白石くん」と呼んでしまう癖にあの日の延長線上に存在する江野くんである実感を受けてエモ死しそうになった。

田代さんのサポートをきっちり行ってくれるその献身には打算なんて無くただあの日の100円を返すような何気ない当然の行為だったんだろう江野くんにとっては。
(当の田代さんは犯罪行為ばかり要求されているせいで助けられている感謝よりもしんどい気持ちの方が遥かに強かっただろうけど)

田代さんの犯罪行為を江野くんが見届けるという構図がオカルトで江野くんの犯罪行為を見届けた白石くんの構図の対になっているようで最高オブ最高。

「後悔してんのか白石くん」というセリフも取り返しのつかない犯罪を犯した田代さんへ投げかけているようであり、あの日渋谷で自爆した自分を止められなかったことへの問いかけをあの日の白石くんにしているようでもあり色んな角度の感情が見え隠れして美しいが過ぎる。
オカルト見といてよかった…(3回目)

別れ際の「お前なんかよそよそしいな。最後くらいタメ口でええんちゃうか」からの手袋を外しての固い握手をしているときの江野くんの表情も絶妙でもう泣きそうだったこの辺。

「またどっかで会おうや…白石くん」

オカルトの別れとは違う、今作での希望を感じる別れに改めて思った
オカルト見といて良かった…(4回目)

江野くんが異世界に一泡吹かせるための砲弾になるくだりもオカルトで異世界に流されるまま利用されたあの日の江野くんが出来なかった運命への叛逆を観ているようで妙なカタルシスがあった。
工藤さん達に「運命に逆らうこと」を説いたのも江野くんだからこその重みがあってすごく良かったな…
オカルト見といて良かった…(5回目)

工藤、市川、江野
合体攻撃のくだりで全然関係ないのにHUNTER×HUNTER G.I編のあのシーンを思い出してしまった。チームの勝利ってやつさ♥

散々オカルト見といて良かったなどと言っておいてアレだが、オカルトを見ることで白石くん(田代さん)と再会した江野くんへの感情移入が可能になるけど見ていなければ「よくわからんおっさんがメチャクチャ助けてくるけど誰この人?」という田代さん視点の感情移入が出来るのでオカルト未鑑賞でもそれはそれで味がある気はする。

(もしかしてオカルトに出てきた地獄だぞおじさんって今作の江野くんみたいに異世界から抜け出した存在?だから今作の江野くんみたいに一定のラインを超えないような行動しかできていなかったのか?)

オカルト感想記事で『青のすみか』に江野くんと白石くんを感じるようになってしまった的なことを描いたと思うけど今度は最終章のせいで『コネクト』聴くと江野くん思い出すようになってしまった。
まあ実質暁美ほむらみたいな存在だったしな江野くん。
これは仕方ないだろう。

それは溢れ出たおっさんの青春 オカルト (2009) 感想
結末に思いっきり触れちゃうレベルのネタバレ混じり感想なので映画を見てない人はご注意ください。

江野くんと田代さんが汚いまどか✩マギカをやっている一方、汚い君の名は(作品発表順的に適切な表現じゃないか?)を体現してくれた工藤さんと市川さん。

「入れ替わってるー!?」

とは言ってないものの入れ替わりモノとして定番の美味しいリアクションがこの二人で見れてもう面白過ぎた。
悲しそうな表情してる工藤さん(中身市川)の顔が大分ツボでした。

唐突な入れ替わりもギャグかと思わせて工藤さんが暴力ではない対話による解決をするための鍵にもなっていて相変わらずトンチキ展開に合理性持たせたり納得させたりするの上手いわ…と唸ってしまった。

工藤さん達を蘇らせるための4つの試練も「強盗」「痴漢」「自傷」「殺人」と倫理観皆無の見ている人間を嫌悪させる行為の連続で何故こんなことを?と困惑したけどこれってもしかして現実にやってはいけない行為を重ねることで世界のバランス崩したとかそういうことなんだろうか。

目を覆いたくなるような、人によっては気分を悪くしそうなキツめの描写は世界も「いやああああ!!」ってなって狼狽えてたのかもしれない。
妙にピースの繋げ方が巧みなコワすぎシリーズならきっと意味があるはずと信じている(ないかもしれないと1割くらい思ってる)

そして紆余曲折を超えて辿り着くあのラスト。

オカルトを含めた色んな積み重ねがあるからこその笑っちゃうくらい爽やかな締め方は超コワすぎを見ることを躊躇させるくらい完璧なエンディング。
あれくらいしんどい思いしないと人生爽やかに笑えないってことなのかもしれない。

凄まじく濃密な生配信だったぜ…

あんなんなっても今だに生中継を途切れさせない田代さんやっぱおかしいよ…

しかしここまで壮大に広げた風呂敷をなんと綺麗に畳む素晴らしい締め方だったことか。
口裂け女の時からは想像もつかないくらいデカいスケールになったけど、よくぞ投げ出さずにここまで走りぬいたなと。

伏線回収も鮮やかというかホントにここまで最初から考えてたの?偶々なの!?と困惑するくらい巧くてとにかく驚かされる。

後から各作品の遊ばせていた描写を上手い具合に意味のあるものとして繋げたのか元々予定通りだったのか一体どっちなんだ…
いやどっちにしろ凄いんだけど
白石監督、恐るべし…

とりあえず…
これ以上長くするのもアレなので今回はこの辺で。

コワすぎ、堪能しました。
また工藤さんに巡り合うその日まで一旦シリーズとはさようなら、ということで

ではでは

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