もうこれ犯罪映像だよ! 戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版 感想

コワすぎ史上最恐の劇場版 映画

まさかまさかの劇場版に進化したコワすぎ!

怪異と暴力の二本柱を劇場版スケールにグレードアップしつつこれまでの伏線回収をしながら真実へと突き進むコワすぎ集大成ともいえるとんでもないジェットコースタームービーで滅茶苦茶見応えがあった。

作品に纏わりついた絶望感と緊迫感はこれまでの比ではなかったし工藤さんのむちゃくちゃな行動もこれまでの比ではなかった。
海外を視野にいれた劇場版スケール工藤さんを目撃してしまった。
最早工藤さんの犯罪記録DVDになっていたよ。

いつものノリの「世間の片隅で人知れず起こる怪異」を映し出す心霊モキュメンタリーという枠を遥かに超え世界を揺るがすような大事件にまで物語が広がっていく様は自分がこの作品をまだまだ型にはまって見ていたのだなと反省させられるくらいに自由で壮大。
世界のバランスが崩れ怪異に日常が飲み込まれていくような展開、大好物です

今回の舞台は訪れた人間が全員死ぬか発狂すると言われるタタリ村。
この村に行くという事それ即ちラストダイブ。
何故こんなところに人は行くのだろう。
憧れを止められなかったんだろうな…

そんなかつてないほどヤバいいわくつきの場所にアイドルと物理学者を連れて行って劇場版にするという工藤さんの思考が一番ヤバいし怖い。
道玄に「間接的な殺人になるぞ。お前にそれを受け入れる覚悟はあんのか」と警告される始末。
正論です。

というわけで今回は同行メンバーに2人新顔が追加。

本を出してもCDを出しても事務所がつぶれたりなんだりなんやかんやでなんも上手いこと行かないアイドル小明。
自費出版で本を出したり生きるための試行錯誤を捨てないしぶとさは好感度がかなり高い。
バラエティっぽい何かと騙されて致死率100%の村に投げ込まれたぜらしい。
ただひたすら可哀想
(登場時の自己紹介ほとんど本人のマジ話な気がする)

非科学的なことは全部バカにして機械が異常な数字を出したら湿度で壊れたことにする愛すべき物理学者斎藤。
「呪いなんてあるわけがない」というスタンスなのでそれを日常的に相手にしている道玄とは当然相性が悪く(逆に良いまである)、いちいち噛みつき合っては名コンビっぷりを見せつけてくれた。

道玄の「集まってきた…」に対しての「主語を言えよ」は個人的に大好きなやり取り。
そうだよな斉藤、この世界の異能力者は言葉足りないよな、わかるよ。

途中からは劇場版仕様暴力の化身と化した工藤さんに殴る蹴るの暴力を振るわれまくって思わぬ輝きを見せてくれた。
正直全作品にいて欲しいくらい良いキャラだった。
真壁先生あたりと遭遇してたら滅茶苦茶面白かったんじゃないかこの人

まあこんなこと言っててもね
全滅したんですけどね。
いつものメンバー以外。

まさか道玄まで…

最初に一番頼りになる道玄が発狂死するなんて思っていなかったのでとんでもない絶望感に襲われたよ…

1人だけ事態の深刻さを理解し警告をし続けそれでも最善を尽くそうとしたその心意気はプロフェッショナル。
前作で活躍したキャラとは思えない狼狽っぷりとその末路は正直心を折られるような絶望感があった。
まさかここまでどうにもならないとは思わないじゃん…

道玄がこうなったらまあ当たり前の話だけど何の防衛手段も経験もない物理学者とアイドルなんてひとたまりもないのであっさりと連続退場。

まさに急転直下のクライシス
ネフェルピトー襲撃くらいの絶望だった

今までヤバい状況が起きても結局なんだかんだ呪具を使って切り抜いてこれたという自信、お岩さんの問題を見事に解決した道玄への一方的な信頼と過信、工藤さんの中にあるそれらが今回のような無謀な挑戦と悲劇を引き起こしてしまったようにも見える。
無情。

そしてそんな敗北者工藤さん。
余裕がなさすぎて犯罪係数がとんでもないことになっていた。

元防衛省幹部を拉致してバットでタコ殴り(あの後あの人どうなったんだ…)、民家に乗り込んでお爺ちゃんに呪いの右ストレート、おじさんをバットで撲殺、通りすがりの子連れ男女を刺殺…
無法者がすぎる。
こんな映像が入ったDVD海外でも許されないっすよ…

劇場版工藤さん
最も劇場版スケールになっていたところ。工藤さんの暴力。

結論 : 工藤さんが一番怖い

自分の行動で間接的に3人もの人間を失ってしまったことや自分の肉体の異変などによって限界まで追い込まれた精神にトドメを刺すように開示される工藤さんの両親の真相。
口裂け女の頃から張られていた伏線の回収所としては最高のタイミングで最悪に最高。

両親が通り魔に殺された理不尽に対する怒りが工藤さんのそもそもの原動力だったわけでそのきっかけを生んだ通り魔が自分自身であったこと、何の罪もない人間だと思っていた両親が世界を危機に陥れる研究に加担していたことは工藤さんに与えるダメージとしては最大級だろう。
何もかもどうにもならない無力感に襲われた直後の工藤さんにこれを畳みかけるのは人の心が無い。
だがそれがいい。

泣きながら両親に何度もナイフを突き立てるシーンはコワすぎシリーズのこれまでの積み重ねも相まって壮絶。
工藤さん涙流せたんだな…

そんな絶望描写の連続からダッシュ攻撃するような勢いで畳みかけてくるラストの展開。
どんな感情でこれを受け止めたら!?
とりあえずめちゃくちゃ笑ったけど。
犬井さんは工藤さんがああなることは想定の範囲だったのかそうじゃなかったのか、そこが一番気になる。

残酷描写も劇場版仕様になっていましたねそういえば。
車に轢かれてブツが飛び出すみたいな表現は一作目の頃からありはしたけどバットで頭砕けるまで滅多打ちとかそこにナイフで追い打ちかけるだとか自分の首を包丁で…とか痛ましさ気持ち悪さのある描写も増えてこれも劇場版だからなのか…?劇場版とはいったい…と納得と困惑の狭間に吞まれそうになってしまった。

(関係ないけど自傷表現ってなんであんなにウッとなるんだろうね。『V/H/Sシンドローム』の自分の腕を傷つけるシーンとか『オデッセイ』のセルフ手術とかそこまで大げさにグロいわけじゃないのにぐええっとなっちゃう。)

話逸れすぎた

とにかく全てが劇場版スケールにレベルアップ、これまでの作品の集大成・到達点ともいえる疾走感溢れるシナリオと映像は最高だった。
これからどうなっちまうんだこの世界は…という渋谷事変終了直後の呪術廻戦を読んだ時以来のゾクゾク感をまさかコワすぎで味わうことになるとは思っておらず素晴らしい作品を見れたなという気持ちとここから話どう畳むんだろうという予測不能な物語への期待感やら不安感やらが混ぜ混ぜになって今大分おかしな感情になってたりする。

最終章、楽しみなような怖いような…

ただ最終章の前に同監督による『オカルト』を挟んだ方がいいという情報を耳にしたのでそちらを見るかどうか、最終章直行するかどうか、はてさて…

最後に…

やっぱ全体的に工藤さんが一番やばかったけど最大瞬間風速叩きだしたの「死んでるんだからもう何やっても構わないですよね」と突如倫理観ゼロを発動しナイフを死体に突き付けた市川だと思う。
ちょっと工藤さんも引いてたよねあそこ

コワすぎ・市川
突然静かで冷たい暴力性を覗かせた市川にさっきまでバット振り回してた工藤さんも思わず困惑。観客と田代さんも困惑。

市川も大概ヤバい奴

それだけ

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