罪を超えろ ミッション:インポッシブル フォールアウト (2018)

イーサン・ハント 映画

我らがトム・クルーズ主演スパイアクション第6弾。

クリストファー・マッカリー監督が前作ローグ・ネイションに引き続き監督を担当したこともあり思いっきりローグ・ネイション直系続編になった今作フォールアウト。

新キャラのウォーカーとスーロンの投入、更にイルサ、レーンを前作から続投し、複数組織と登場人物の思惑を交差させ誰が敵で誰が味方かわからなくなるような重層的な物語を高品質なアクションで味付けしておりその見応えから今作を最高傑作とする声も多い。

不満点と言えばジェレミー・レナーがMCUの撮影の都合でスケジュールを確保できずそれによりブラントが再登場しないことくらいだろう。
(ブラント出せないならブラントを映画冒頭で殺そうみたいな案を監督が提案したらジェレミー・レナーから拒否されたなんて話もあるがマジでそんな雑な死に方しなくてよかったとホッとしてる。)

そんなシンジケート、イルサ、レーン、そしてあのジュリアとの因縁。
その着地点の一つを描いたとも言えるフォールアウトについて触れていこう。

ソロモン・レーンの逮捕から2年、ボスが逮捕されたからって当然大人しくなるわけもなく各地で大暴れするクソッタレテロ集団として猛威を奮い続けるシンジケート残党アポストルとイーサンの戦いが今作のストーリーの主軸になっている。

その中で今だに闘いの日々から抜け出せずもがき続けるイルサ、そして戦いの中で自分の行動の結果と苦悩に向き合うことになるイーサン、それぞれの因縁が交差していく。

最も注目すべきはイーサン。
まあ主人公なんだから当たり前なんだけど。.

ローグ・ネイションがイルサの物語とするならフォールアーウトはイーサン・ハントの内面により密着した作品になっている。

映画冒頭からイーサンが見るソロモン・レーンとジュリアが出てくる最高と最悪のコラボレーションドリームから開幕しイーサンの抱える恐れを提示してくることからもその意図は見て取れる。

そしていつものようにイーサンが仲間の命を優先しすぎるせいで事態がややこしくなっていく様も強調して描かれる。
例えば序盤、ルーサーを人質に取られその命を優先する行動をとった結果プルトニウムが敵に奪われ世界が危険に晒されるなど、「罪」という形でイーサンの行動の結果生じた現実を突きつけるような展開が繰り広げられる。

仲間も守りたい、別の立場と事情で動いているイルサも守りたい、一般人も守りたい、最愛のジュリアも守りたい、増え続けるイーサンの弱点を突くような展開は彼を試しているかのようでありその味わいとしてはシリーズの中でも重めのそれ。

そんなこんなで今作はイーサン・ハントという男の生き方を克明に描いており改めて彼の内面を確認することができる内容となっている。

ある意味ではイーサン・ハント集大成のような作品ではないだろうか。

注目人物

シンジケートが出てくるならば当然ソロモン・レーンも出てくるわけで、その出で立ちはもう全然前作の知的メガネの面影がない。

作品作りに没頭して山にでも籠った芸術家さながらに髭を蓄えローグ・ネイションの時よりも戦闘力が高そうなビジュアルに進化して再登場。

前作では見れなかった泥臭いアクションや拘束されながらも余裕を崩さないいかにもな悪役ムーブなど新しい一面を見せてくれて魅力がより増した(ような気がする)。

ソロモン・レーン
声を聞いて「ソロモン・レーンの声だ…」となり、風貌を見て「ソロモン・レーンじゃなかったかもしれない」と混乱させる男。

個人的にはイルサ&ベンジーVSレーンのマッチアップが奇しくもローグ・ネイションでレーンに煮湯を飲まされた2人によるリベンジバトルの意味も持っているようで結構好き。

そしてイルサ。
IMFではなく別組織のエージェントとしてイーサンの味方をしたり邪魔したりと前作に引き続き掻き回すような働きをしてくれた。
前作ではW主人公の片割れのような存在感だったが今作ではちょっとその味は薄め。
というかイーサンにガッツリと焦点を当てているのでしょうがないんだろうけど。

個人的に気になったのは前作でのイーサンとの関係がnot恋愛バディ関係な空気感だったのに対して今作はちょっとイーサンとそういう関係になる雰囲気になっている気がしたこと。
ルーサーの言う「イーサンが愛した2人の女」は片方がジュリア、そして明言しないものの流れ的にもう1人はイルサだろう。
(もしかしたらナイアの可能性だってあるけど…)

ジュリアという存在が僕の中では絶対的な存在になっているので個人的にはイルサとイーサンの関係性周りへのモヤモヤとした感情を抑えるのが大変だった。
解釈・意見が割れるところではあるだろうけど。

そしてジュリア。
登場自体はゴースト・プロトコル以来、がっつり物語に絡むのはM:I-3以来のイーサン最愛の女性だ。

宿敵イーサン・ハントと戦う組織がいくら死んだことになっているとはいえジュリアの存在を把握していないわけがないのでまあそりゃ狙われるよねという納得感ある理由付けのもと再登場。

遠巻きに守られるだけかなと思いきや積極的にミッションの手伝いに参加しようとするその姿にM:I-3クライマックスのおよそ一般人とは思えない活躍っぷりを思い出して相変わらのトンデモっぷりが懐かしい。
観客の困惑に同調するようにイルサ達もちょっと引いてるところが良い。
流石イーサンが愛した女だ。

再婚し第二の人生を歩み出しているもののイーサンへの愛も色褪せていないジュリアの複雑な心情を旦那さんもなんとなーく察したのかそれによってイーサン・イルサ・旦那さん三者三様の気遣い120%が発生してて見てて切ないというよりも気まずっ!という感情が勝ってしまう。

ジュリア再婚はまあ仕方ないよな…と思うもののちょっと描いて欲しくないものでもあったので「ああ〜…」という気持ちになって後半は集中力が落ちてしまいそうになるのが今作の危険なところかもしれない。

個人的には2人の関係はゴースト・プロトコルでの描写が至高だったんだよなあと改めて痛感してしまう。

とはいえジュリアのキャラを崩壊させずかつての面影を感じさせながらその後の人生も納得いく足取りだしイーサンとのやり取りもめちゃくちゃ良い。
久々の再登場としては文句の付け所がない丁寧な扱いだからこそ切れ味抜群に心に刺さるような再会だった。
君たちは愛がデカすぎる。

いい加減死ぬぞトム・クルーズ

毎度毎度のことだが今作もアクションが狂ってる。
頭がおかしい。

トム・クルーズが足を骨折する瞬間なんかも収められていてもうハプニングビデオの領域である。

俳優としては初の試みとなる成層圏ギリギリの上空7620mからのヘイロージャンプ、相変わらずの派手でスレスレなカーアクション・バイクアクション、足首骨折ビルジャンプ(そのままよじ登って骨折した足を引き摺りながら走り去る異様な光景付き)、トム・クルーズ自らヘリを操縦した高難易度のスパイラル飛行、飛行中のヘリから垂れ下がるロープをよじ登りそこから下の荷物まで落下するなどおよそ同じ人間とは思えない非常識なアクションが詰まりに詰まっている。
(ヘリコプターのくだりはイルサ役のレベッカ・ファーガソンや監督も終わったわこれと思うレベルで危なかったらしいのでやっぱり頭おかしい)

個人的には飛行中のヘリにロープ一本で下からよじ登っていくところがお気に入り。
レーンが「またなんかやってるよ…」みたいな真顔で見つめているのも味わい深い。

「撮影中死んだら死んだらその映像を絶対公開して欲しい」的な言葉を残していたりなんかもう死に場所を映画の中に求めているんじゃないかと思ってしまうよトム・クルーズ。

ルーサーとジュリア
ジュリアにイーサンのことを聞かれたルーサーが「イーサンはイーサンだよ」と答えた直後ヘリでチェイスしてるイーサンが映るシーン芸術点高いと思う。

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