ポックル (HUNTER×HUNTER)について

ポックル 漫画

「問題はこれから何を成すかだからな」

ハンター試験編から初登場したゴンと同期の幻獣ハンター。

ハンター試験編終了後どんな再登場を果たすのか、そもそもまた出てくる日は来るのかなんてその後の扱いをハンゾーと並んで訝しまれていたがキメラ=アント編にて見事再登場し多くの読者に絶望とトラウマを与えるという大仕事を果たしてくれた。

今回はそんなポックルについて。

お前こそがハンターだと言いたくなるくらいの作中トップクラスにハンターっぽい見た目をしているがその活躍は少なくかなり地味。

第4次試験を華麗に通過したのを最後、それ以降はハンゾーに腕を折られそうになったりキルアから「戦ってもあんまし面白くなさそう」と低評価を受けたりその結果不戦勝でハンター試験にちゃっかり合格したりクラピカにレスバ挑んでボコボコに論破されたりと印象に残る一つ一つの場面への悲哀が凄まじい。
極め付けはその凄惨な最期。

多くの読者にトラウマを残しHUNTER×HUNTERファンにとっては絶対に忘れられない強烈なものを提供してくれた。

散々な扱いであったポックルだが自分の非を認めクラピカに心からの謝罪をしたりジンを探すゴンに協力しようとしてくれたりと人間ができている姿が数少ない描写から見てとることができる。
そんな面倒見良さげな一面を知ったからこそ、ハンター試験じゃアレだったから再登場したら大活躍するかもな、楽しみだな、と思っていたのだがまさかそのままフェードアウトしていた方が幸せなオチが待っているとは思っておらず…無情。

ある意味で最もHUNTER×HUNTERを感じるキャラかもしれない。

????年 プロハンターを目指しハンター試験を受験。不合格。

1999年 再びハンターを目指し287期ハンター試験を受験。

第4次試験にてキュウからプレートを奪い開始早々4次試験を突破。

最終試験直前のネテロとの面談にて「一番注目している相手」にクラピカ、「戦いたくない相手」にヒソカをあげる。

最終試験にてハンゾーと戦闘。降参する形で敗北。

続いてキルアと戦うはずが「悪いけどあんたとは戦う気がしないんでね」とキルアが降参。
まさかの不戦勝という形でハンター試験を合格。

裏ハンター試験として念の習得に挑戦。
練の習得に苦戦するも裏試験合格。

2000年 キメラ=アントの調査or討伐のためにNGLへ。状況の悪化、明らかになる事態の深刻さに撤退を判断するもその瞬間をキメラ=アントに襲撃される。
ポックルが応戦するが仲間が次々殺されチームは崩壊。自身もザザンの神経毒を撃たれ捕らえられてしまう。

キメラ=アントの巣に食用肉として持ち帰られるも奥歯に仕込んだ解毒剤のおかげで身を隠すことに成功。
しかし隠れているところをピトーに察知され(恐らく円の効果)念能力の情報を引き出すための拷問を受けた末に肉団子に加工され女王に食われる。
死亡

普通。
弱いと断じるほどでもなければ強いと言えるほどでもなく、普通。

とはいえハントの経験値はそれなりに積んでいるようで、第4次試験では気配を絶ち機を窺い毒を用いて獲物を確実に仕留めるという堅実なハントを披露しゴンから称賛されている。
(この辺の描写から練の修得には苦戦したかもしれないけど絶は比較的早く修得できてそうだなと思ったり)

また、最終試験のトーナメント表の作成にあたりネテロからゴン、ハンゾーに次いで高いハンターの資質評価を受けているなど、ハンターとしてはそれなりに優秀であるんだろうなということを感じさせる描写がちらほらある。

それでもなんか地味というか弱いとすら感じてしまうのはゴンとかキルアとかを基準にしてしまうからであって多分数いるハンターたちの中であれば伸び代が十分にあった方なんじゃないかなと思う。

ハンゾーとかキメラ=アントとか戦った相手が悪すぎて活躍と成長の機会をほとんど得ることもないまま悲惨な最期を迎えることになってかなり不憫。
もう少し同じくらいの強さの相手との戦闘を見てみたかったな…

運の悪いポックル
エンカウントする相手が毎度毎度悪すぎて正直可哀想になってくるポックル。この運の悪さはある意味才能かもしれない。

「くらえ」

放出系能力者
能力名 七色弓箭レインボウ

左手の指を弓に、そこに右手にオーラで作り出した矢を重ね放つ放出系能力。
道具を持たずに弓矢による攻撃を再現することを可能としている。

名前の通り複数系統を絡めた七種類の技を使うことができるが劇中で使われたのは以下の二種類のみ。

赤の弓 相手に当たると発火する。多分放出系+変化系。
燈の矢 七色の弓の中で最速を誇る。多分放出系+強化系。(パイクには軽々止められたが)

なぜか弓と矢という名前違いが起こっているがこれが誤表記なのか意図的なものだったのかは冨樫先生以外誰も知らない。
もしかしたら弓と矢それぞれ七色分あってそれぞれの色ごとの組み合わせでやれることが変わってくるのかもしれないけど…
(個人的にはただの誤表記だと思ってる)

念修得以前から弓矢を用いた戦闘を得意としていたことなどから考えて、自身の適正をちゃんと理解して作られた良い能力じゃないだろうかと思う。
対キメラ=アントにおいては全体的に火力不足を否めなかったものの、獣を威嚇したりするのに火は有用だし他の矢にも狩りを行うための便利なお助け効果があるだろうなとも考えられる。
(ハンター試験でのしびれ薬戦法から考ると麻痺効果のある矢もあったんじゃないだろうか。他にも得意系統の操作系に該当する矢もあったかも?)

ゴリゴリの戦闘向けに作られた能力ではなくハンター試験の時のようなザ・狩りのための能力と考えれば利にかなっていると思う。

七種類の技、それも変化系(オーラを火に変える赤の弓)など自身の苦手系統を織り交ぜた修得難易度の高そうな能力であり、練の習得に手こずるなどすんなりと念を会得したとは言い難いポックルの背景から考えてもおそらくキメラ=アント編時点ではレインボウは完成には至っていなかったと思われる。(ゴンのジャジャン拳がグー以外未完成だったように。)
系統別の修行をしつつハンターとしての実績と経験を積んでいる道中だったのだろう。

それでも、強火ではなかったにせよオーラを火に変えることを可能にしていたり(放出系なのに苦手系統の変化系をそこそこ使えてる)、念の基礎修行に苦戦していた割に発を形にするのがかなり早かったなというのが個人的な印象。
(ゴン、キルア視点で念の地道な修行を見ていただけにこの時点で結構ちゃんと形になっている必殺技を使っているポックルに結構びっくりしたので)

カイトのクレイジースロットのように複数の能力を使いこなすタイプの能力だが、クレイジースロットがランダム性というリスクによって性能を底上げしていたと思われるのに対し、レインボウは任意で弓を選択して使えるからこそそこまで火力が高くはなかったのかなと考えられる。

とにかくキメラ=アントとかいうバケモノを相手にしたのが運の尽きであり、他のタイミングで、それももっと成長した状態でこのレインボウの活躍を見たかったなという思いである。

「あっあっあっあっあっ」

ポックルというとその活躍よりも真っ先にトラウマシーンを思い出す人が多いんじゃないだろうか。
HUNTER×HUNTERを読んだことがなくてもこのシーンは知ってるor聞いたことがあるなんて人もいるかもしれない。
そんなレベルのインパクトを残すとんでもシーンを産んだのがこのポックルだ。

NGLにポンズ含むアマチュアハンターらと共に赴くも想定以上に邪悪に進化したキメラ=アント達に追い詰められ、撤退の判断をするもよりにもよって幻影旅団とそこそこ良い勝負をしたザザン隊に奇襲され仲間を殺され、捕えられた先にまさかの既存キャラの誰よりも強いネフェルピトーが生まれてて捕まって拷問を受け殺害されるという運の無さここに極まれりな残酷な末路を迎えることになってしまったポックル。

問題はピトーに捕まってからの拷問シーンである。
動けずに潜んでいるところをピトーに見つかり場面がキメラ=アントの餌になった生物の末路(肉団子)の説明に切り替わったことで「ああ…」とこの時点で多くの読者はポックルもそうなったことを察してげんなりする。

しかし我らが冨樫先生は読者の想定する最悪を軽々と超えてきた。

ピトーによって剥き出しにされた脳、そこに突き立てられた針でクチクチュ脳を弄られポックルが持つ念能力の情報を全て引き出された上最後は包丁でバラされ肉団子になり女王に献上されるという、いやそこまでしなくても…と読者たちをドン引きあるいは戦慄させるという最期をきっちりと見せつけてきた。

最期の最期に少年誌の限界に挑んだ勇敢な男である(やったのはピトーだけど)。

(念能力の情報を敵に与えてキメラ=アント達の成長を早める一因となったことから戦犯呼ばわりする声もあるがピトーみたいなナチュラルバケモンがいたら他の誰かがとっ捕まって同じようなことになっていただけだろう。それこそカイトがそうなっていた可能性だってある。あえて誰が悪かったかという話をするならキメラ=アントを放置し巣の建設と繁殖をある意味助けていたNGLそのものが悪い。)

仮にも主人公と同期キャラの扱いとは思えないこの容赦ない末路はHUNTER×HUNTERという作品が心臓に悪いことを改めて読者に知らしめる結果となったと言える。
この割とすぐ後にカイトが死ぬ急展開でさらなる絶望に叩き込まれるとは思ってもいなかったが。
(カイトが死ぬかもという思考はあれどこんなに早く、そしてあれほどまでに呆気ないなんて思ってなかったのである。)

しかも旧アニメ版で仲良さげにセットで扱われていたポンズまで酷い死に様を晒すなど何かポックルにでも恨みがあったのか?と思わせるほどに人の心を感じない。
新アニメ版ではアニオリでポックルとポンズの仲睦まじい様子、その淡い関係を想像させる描写が盛り込まれたことで2人の悲惨な最期によりドラマが持たされていてもう勘弁してほしくなる。
原作の方がダメージ少ないとは思わなかったよ。

ポックル好きな人は旧作、新作どちらもアニオリでポックルにちょっとだけ厚みが増しているので見てみると良いかもしれない。

そして是非トラウマを深めてほしい。

ポックルと謎の端末
一瞬出てきたノートPCと電子辞書の狭間みたいなところにありそうな謎端末、その後使う描写もなかったけど結構好きだった。なんなんこれ。
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