新解釈を加えた反逆のルルーシュ総集編三部作からの復活のルルーシュによりシリーズを再始動したコードギアスの新作アニメーション奪還のロゼがまあ社会情勢やらなんやらで公開が予定より大幅に遅れながらも遂に2024年にめでたく公開。
で、肝心の出来栄えはというと
結論から言えば面白かった。
ちゃんとギアスをしていた!!という感触の出だしだったかなと。
観る前はPVの出来が良すぎるが故に自分の中でハードルが上がりすぎてもっと「なんか違うなあ」みたいな気持ちになりながら見ることになるかなと構えていたんだけど案外と空白期間や過去キャラの現在やロゼの物語との関連性を頭の片隅で想像しながらワクワク見ることができた。
多彩なキャラ達の情報過多で色々と想像させてくれる掛け合い、大味にハッタリの効いた戦闘、急展開に次ぐ急展開がもたらす驚き、ギアスらしい「続きをはよ!!」と言いたくなるような強すぎる引き。
毎週食い入るように見ていたあの頃のギアス、その最新作だぞと声高に主張するような作りにはいちギアスファンとしてニヤリとする他なかった。
亡国のアキトは反逆とはまた違う味の出来になっていてあれはあれで結構新鮮で好きだったんだけど、それと比較すると奪還のロゼはかなり反逆のルルーシュの頃の味を思い出させるような、見に来てくれた観客にルルーシュ達が守った先の世界だということをしっかり実感してもらえるような作りになっていたと思う。
まるで別物の作品にすることだって可能だっただろうに観客の需要から逃げずに向き合った真摯さを感じてこれは純粋に嬉しかった。
肝心のキャラクターも最初は身構えていたものの実際物語の中で動いているところを見るとこれがなかなか。
反逆のキャラクター達が持つ属性をそれぞれ分解して色んなキャラに分散し持たせることで作品の遺伝子を随所に感じさせる作りは「これどっかで見たことあるな」と鮮度に欠ける面がなくも無かったがギアスファン向けの仕込みが効いていて面白い。
特に肝心のロゼ。
「一体お前は何者なの?」という観客から登場人物から全員が抱くその疑問への答えこそが1幕最大のフックであり、その情報の引き出し方が非常にうまくロゼというキャラへの好感度をちゃんと抱かせてくれた。
ロゼというキャラクターに目を向けることでグッと話への引き付けが強くなるような作りであり、反逆のルルーシュ同様キャラクターを一番大事にしている姿勢はちゃんと継承されて安心するところ。
ギアスを初めて使う時の変な決めポーズやチェスと駒を戦場とKMFに見立てたりとか節々にルルーシュを感じる瞬間があったけどもしかしてゼロ(ルルーシュ)からかなり影響を受けてるのかな…
(ルルーシュっぽさを出すというファンサービス以上の意味はないかもだけど)
ギアスを使う際相手に選択の余地を与える甘さが見られるなどルルーシュとの明確な違いなんかも見られるわけだがこれが果たして物語に影響を与えるのかどうかも今後の注目ポイントだろうか。
ギアスがもたらす孤独をまだまだ甘く見積もっているところなんかも反逆視聴済みの者からすると「oh…」となってしまうところで色んな意味で今後が楽しみな新主人公だろう。
他にもアッシュやハルカ、サクヤなど魅力的なキャラはいたがとりあえず今回の1幕では頭ひとつ抜けてロゼが魅力的な存在感を放っていたと思う。
サクヤもデザインから立ち位置から王道ヒロインっぽくて良いしアッシュもスザクを思わせる理不尽暴力的存在として面白いキャラだったんだけどこの二人に迂闊に触れるとロゼごと巻き込んでネタバレしそうなので割愛。
とりあえず新作ということでかなり身構えていたこちらの懐に見事入り込みその好感度を勝ち取る良いキャラクター達が揃っていた。特にロゼ。
あとはギアスとしては欠かせないのがナイトメア・フレームによるロボットアクションでありここも結構良い点数を出していたと思う。
反逆で一番印象的だったスラッシュハーケンとランドスピナーを使った立体的バトルをメインに採用(というか上空にバリアが張られているせいかフロートを使った空中戦の影が薄い)するというやっぱりコレがなくちゃ始まらねえよな!というファン心理を理解しているようなサービスがあって大変良い。
どんどん戦闘のスケールが空飛んだりビーム連発かましたりと派手になっていった反逆のそれをオマージュするように章を経るごとに戦闘シーンの味が変わったりするかも?なんて思ったりも。
ただ個人的には亡国のアキトの戦闘シーンを見た時ほどの驚きはなかったのでこの我ながら高すぎる設定の期待ハードルを2幕以降超えてきてほしいなあと思ってたりする。
(しょうがないだろアキト1章とか2章とか衝撃だったんだよ初めて見た時…)
そんでもって油断しているとおったまげるような驚きが待っているというギアスらしさも再現。
特に1話は完璧に油断していた、というか力抜いて見ていた舐め腐っていた自分を殴りにくるようなパンチの効いた衝撃だった。
絶対に驚かせてやるぞという確固たる信念を感じる一撃で恐れ入った。
あの瞬間僕は奪還のロゼに屈した。
今後2幕、3幕、4幕と続きどこかでまるで面白くないとか気に入らんとかなったとしても1幕1話で腰抜かすほど驚かされたという事実が覆ることはないのだ。
敗北者としてお前を見届けるぞ奪還のロゼ…とどこから目線かもわからないクソッタレ敗北者としてスクリーン前で情けない決意表明をさせられたのであった。
あとは結構旧作ファンを怒らせないような配慮も結構見られてそこも印象的だった。
舞台を日本にしたことも復活のルルーシュからそこまで大きく期間を開けないところに時代設定したのもその一環かなと。
るろ剣といいゴールデンカムイといいなんか良い感じの舞台として使われ大変なことになる北海道。今回も当然のように酷い有様である。
本土と海で隔たれた広大な寒冷の大地ってなんかフィクション的ロマンがあるから映える映える。
舞台がホッカイドウということは反逆の舞台となったトウキョウからは海で隔たれた遠く離れた土地だ。
つまり反逆のルルーシュでみんなが死ぬ思いで取り戻した日本がなんかまた訳の分からん連中に分捕られているという事態な訳ではあるが反逆では描かれていない土地が一部奪われた&海で隔ていて尚且つバリアが張られていて対処が難しいという理由づけもあるので「まあ知らない土地での物語を見れるし日本全土が支配下に置かれているわけでもないし…まあ…いいか…」と僕のようなめんどくさいファンを言いくるめるための設定が用意されていたと思う。
まさかジルクスタンの闘いの翌年にこんなことが起きてるとか思ってなかったので「ええ…?」という感情が無かったわけではないが前年にゼロが敗北したという事実が残っている&ブリタニアの全員が全員おとなしくなっているわけではない等の理由から均衡が崩れてこうなっても不自然では無いのでその辺も「クソッ…受け入れるしかねえ…」となってしまうわけである。
考えてやがる…!
とはいえスザクやカレンがいながら何年もこの状況が改善されていないことには「バリアがあったところであいつらなら力づくでどうにかするやろ」、とか「ロイドやラクシャータがいながら障壁の排除を一向にできずにいるのか?」などと色々腑に落ちない部分も多くこのへんをどう納得させるかが本作の一つの課題であり個人的にはまだそこはクリアされていないように感じるのでその辺も楽しみにしていきたいかなぁ。
(2幕予告の「アレ」が原因っぽいような気もするけど果たして…?)
まあとりあえず、起承転結でいうところの「起」だなぁと。
そりゃそうだってわけだが。
世界観とキャラクターを理解させるための準備段階というシナリオではあったもののその中に緩急の効いた驚きや笑いを放り込みなかなか退屈させてくれない優等生のような始まりだった。
まだ個人的には「うおおおおやばい!!」と血が沸き立つような熱い興奮はそこまでシナリオ上にはなかったので1幕で開示した設定という基礎の上にどんな城を建ててくれるのか楽しみである。
個人的には4幕で新旧キャラ揃い踏みのオールスターバトルinホッカイドウが開催されないかなあと思ってる。
来い!!スザク!!
というわけで今回はこの辺で。
多分2幕も感想を書くと思うのでそこでまた。
(亡国のアキトの時みたいに一年以上待たされないという喜び!)