「初心者におすすめのガンダムって何?」
度々話題になるテーマでありわかる人にはわかるであろう戦争開始のセリフでもある。
ガンダムを知らないけど興味を示している人がいたら怒涛の勢いでおすすめガンダムを並べたて相手をドン引きさせるところまでがセットの様式美。
まあ質問する側からすれば歴史が長く作品数もボリュームのあるシリーズ、どれに手をつけていいかわからない敷居の高さを感じるだろうし有識者に聞きたくなるというのは当然の心理。
そして聞かれた側も目の前に沼の手前にまでノコノコやってきた獲物を逃さないためにあの手この手で沼に引き摺り込もうと必死になるのも当然の心理。
でもこれが本当に難しい質問なのだ。
各々あるはずだ。
心の中に好きなガンダムが。
けどそれをそのまま初心者におすすめできるかと言ったらまたそれは違うだろう。
オタク特有の衝動を抑えながらギリギリの理性から搾り出して初心者に薦めなくてはいけない。
「初心者おすすめのガンダム」とやらを。
ということで今回はそうして搾り出した初心者向けのガンダムについてランキング形式で紹介していこうと思う。
5位 機動戦士ガンダムUC
まずはこれ、ユニコォォォォォォォォォン!!!
ガンダムファンからすれば「えぇ?どうなんだ?」と思われそうなチョイスだろう。
宇宙世紀0096年、逆襲のシャアから3年後を舞台に主人公バナージ・リンクスが「ラプラスの箱」を巡る戦いに巻き込まれる物語。
時代的には思い切り1stから連なる宇宙世紀シリーズの真ん中くらいに位置しているしヒロインのミネバはZガンダムからの登場人物だったりあの人も出てきたりあのMSの後継機が出たりと当然過去作品との関連性もかなり高い。
背景を全く理解していない初心者が本当にこれを見てもいいものか怪しく感じるはず。
しかし平穏を奪われガンダムになし崩し的に乗り込み戦うことになる少年の悲哀と成長物語というザ・ガンダムなストーリーライン、宇宙世紀の空気感、MSのかっこよさ、ガンダムらしい濃密な人間関係描写などを美麗な映像で味わい、スッと履修することができる優秀な作品ではないかと個人的には思うのだ。
1st(機動戦士ガンダム)を観てほしい!!
正直なところこれが本音である。
しかしどうしたって今のアニメと比較すれば古さがある映像に食指が動かない人もいるだろう。
(そんなん気にならなくなるくらい面白いから観ろよ!と言いたくなるくらい面白いのだがそれでもやはりこれを強いるのもまた初心者には辛いかもしれないし)
だがこのユニコーンは宇宙世紀作品の中では比較的新しく映像のクオリティの凄さも未だシリーズの新しい作品たちと比較しても負けていない。
壮大なBGM、分かりやすくカッコいいMSデザイン、派手な映像と視覚的な満足感がわかりやすいくらいに強く、その上で宇宙世紀の独特の空気感も味わえる。
実際ユニコーンから入った人たちも多くその面白さと初心者でも楽しめる内容であることは明白。
ガンダムの入り口として優秀なだけでなくアムロとシャアの戦いから始まった宇宙世紀のあれこれへの興味を持たせてくれる作品でもあるので気になったらここから1stなり逆シャアなり宇宙世紀の過去作に手を伸ばしてみたくなるような作品でもあるので宇宙世紀沼に堕とす力が高そうだなというところからもこのユニコーンをランクインさせた動機があったりするわけである。
とりあえずよくわからなくてもシンプルにボーイミーツガールものとして楽しむこともできる一本なので結構おすすめ。
後大事なところだが見るのはep1〜ep7の7本構成であるOVA版にしてほしい。
『機動戦士ガンダムユニコーンRE:0096』という作品もあるのだがこちらはOVA版をTVフォーマットに再編集したものであり、ちょっと無理やりというかぶつ切りで1話1話終わることが多く結構そのへんが気になる人が出てきちゃうんじゃないかなと思うので元なったOVA版を最初に見るのがおすすめである。
4位 機動戦士ガンダム劇場版三部作
4位はこちら。
いいから黙ってこれから観ろ!最強の原点!!
機動戦士ガンダム!!
宇宙世紀、そしてガンダムの原点にしてガンダムを知らない人でもどこかしらで名前は聞いたことがあるだろうアムロ・レイとシャア・アズナブルの因縁の始まりの物語。
深く刻み込むような戦争とそこに関わる人々の描写、少年少女の成長ドラマは歴代最高峰の超傑作だ。
ユニコーンを宇宙世紀への掴みとして紹介しておきながらなんだがやっぱりこの作品は外せない。
本音を言うなら1位にしたいくらい。
けどユニコーンの項でも触れたように古い作品というものは今には無いタッチの絵柄や空気感など敷居の高さがあるだろう。
だから歯軋りしながらここにランクインさせたわけである。
ガンダムに限らず後の多くのアニメ・漫画作品のベースになっており今なおその存在感は強い。
戦争の悲惨さ、ロボットのかっこよさ、魅力あるキャラクターの掛け合い、シリーズの根幹と言える作品でありこれを観ておくことで他シリーズもより飲み込みやすくなるだろう。
また、アムロとシャアの因縁は以降の作品でも大きく関わってくるため宇宙世紀について、それも特にこの二人について知りたいという思いがあるなら本作一択である。
本当ならTV版からの劇場版三部作に行ってほしいところだが流石に大変だと思うので劇場版三部作からをおすすめしたい。
テレビ版を劇場版用に再編集したものであり1stに触れるに当たって一番入りやすい作品になっていると思う。
カットされた箇所が気になったらTV版を観る、そんな流れでもいいんじゃ無いだろうか。
3位 機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
そして第3位にはあのガンダムブームを21世紀早々に巻き起こした人気シリーズ。
ガンダムSEED!
自然のままに出生したナチュラルと遺伝子操作によって生み出されたコーディネイターの戦争、そしてその戦火に運命を翻弄され陣営を分けて対立することとなったキラとアスランのドラマを描いた作品。
4位までの宇宙世紀関連とは打って変わってのアナザー作品ではあるが初心者は宇宙世紀よりも連続性の薄いアナザーの方が入り込みやすいのでは?という思いからこちらがランクイン。
映像作品としてはスピンオフである『STARGAZER』を除けば『SEED』、『SEED DESTINY』、『SEED FREEDOM』の3本が存在し、SEEDとDESTINYは4クールアニメ、FREEOMが劇場版という仕様であり少々ボリュームがあるものの見たものを惹きつけてやまない引力があるので騙されたと思ってまずはSEED1話を観てほしい。
キラとアスラン二人の友情と対立その悲劇と運命は当時男女問わず大きな反響を生んだがそれは現代でも依然通用するクオリティのシナリオじゃないかなと個人的には考えている。
この二人のドラマを見届けたい、そう思わせて完走させるだけの魅力をSEEDは有しており初心者にも安心して薦めることができる作品である。
また、SEEDに関して言えば1stをベースにしたようなストーリー展開がなされているためある意味で濃厚な原点の遺伝子を持っている作品でもあるのでガンダム初心者にガンダムとはどんな話なのかを僅かでも感じてもらいやすいところもあるのでは無いだろうかと思う。
約50話近い本数のアニメを2本消化するのは長い道のりではあるものの、それを超えた先にある劇場版SEED FREEDOMがまた格別なのでこれも是非味わっていただきたい。
ただまあやはり長い道のりなので「話題のFREEDOMが気になっているけどシリーズ長いしちょっと…」と日和っている方は別に劇場版から入ったって構わない。
多分というかほぼ間違いなくわからないことだらけだろうがド派手なお祭りみたいなもんなのでなんとなくそれなりに楽しめるはず。
それにこの映画をきっかけにSEEDを観始めてもいいだろう。
絶対最初から見たい!けどやっぱり多いよ!と思ってしまう人はスペシャル・エディション版という総集編もあるのでそちらからでもいいだろう。
結構出来が良くてちゃんと見応えがあるのでおすすめ。
劇場版の前日譚に当たるFREEDOM 0もその内何らかの形で公開されるだろうしそれまでにSEEDシリーズを観ておくのはアリじゃないかなと思う。
2位 機動戦士ガンダム00シリーズ
そして2位にはSEEDにも劣らない人気を誇るシリーズ。
「俺がガンダムだ!!」で有名のあの00!!
世界中のあらゆる武力紛争に軍事介入し戦争根絶を目指すソレスタルビーイングと世界の戦い、そしてその中で交錯していく4人のガンダムマイスターの物語を描いた作品。
正直SEEDを2位にするか00を2位にするかで悩んだのだがこちらの方がトータルの話数が少ないというところから僅差でとっつきやすいかな?ということでランクイン。
1stシーズンと2ndシーズン、合わせてようやく4クール分に加え劇場版一本とまあそれなりに見やすいボリュームかなというところ。
こちらも基本的には他シリーズの予習も無しに楽しめる独立したアナザーシリーズの一つとなっている。
SEEDと比べると少し渋めというか地味にも感じられるかもしれない展開が続き序盤はしんどさを感じる人もいるだろうが徐々に世界のパワーバランスが崩れていく破壊の妙はガンダムシリーズでも随一。
キャラクターやMSの魅力もSEEDには一切の引けを取らない。
個人的には一期後半の破壊の畳み掛けと結末が最高に好きであの流れを見た時の興奮は忘れられなかったりする。
劇場版も結構な異色作であるものの他のガンダムでは見られないような設定とストーリーが用意されておりガンダムというシリーズの可能性の幅を広げてくれた傑作。
何よりも「行くところまで行ったな」と世界観の一つの到達点に辿り着いた姿を見せてくれた作品であり、キャラクターと世界が見せてくれるその屈指の綺麗な着地、カタルシスは必見である。
ボリュームが気にならないならSEED、もしほんの少しでも「多いな」と感じるのであればこの00シリーズから入ってみるといいのでは無いだろうか。
ちなみにこちらもSEED同様総集編のスペシャル・エディションがあるのでやはり長いなと思う人、サクサク行きたい人はこちらで味わうのもアリだろう。
1位 機動戦士ガンダム 水星の魔女
そして1位を飾ったのはTVシリーズ最新作品でもある水星の魔女!!
アスティカシア高等専門学校に転入した水星育ちの少女スレッタとミオリネの出会いをきっかけに加熱していく学園内及び企業間の対立、そしてその水面下で激化していく世界情勢、徐々に全てが交わりその果てで大きく運命を揺さぶられることになるスレッタとミオリネの物語を描いた作品。
元々ガンダムを見たことがない人たちが入りやすいよう意識して作られていることもあって初心者の入り口としては最適も最適なくらいに見やすい作品だと思う。
話数も2クール分しか無く劇場版なども存在しないためテレビ本編さえ見ておけばいいというところも初心者的には素晴らしい仕様である。
軍人ではなく学生メイン、そして主人公はテレビシリーズ初の女性、国同士というよりも企業間の争い、戦闘も戦火の中の乱戦ではなくGガンダムを思わせる競技性の高い戦闘などシリーズファンから見ると結構特殊な設定で固められた作品ではあるものの今どこを見ればいいのか、今どんな機体がどんな闘いをしているのか、どう事態が変化していっているのかなど画面上のイベントを混乱せずに受け取りやすい作りになっているのでそもそもガンダムというよりも一本のロボットアニメとしての見やすさが素晴らしい作品じゃないかなとも思っている。
しかしちゃんと「ガンダムらしさ」はきちんと備わっており、見ていると「そうだこれガンダムだった!!」と展開の衝撃に何度も殴られる瞬間がある程度には「ガンダムらしさ」がかなり作品全体にしっかりと染み込んでいる。
なのでここから入った人は過去作を見た時にその遺伝子の濃さを感じることができるんじゃないだろうかと思う。
見やすいのみならずシナリオ、キャラクター、音楽、戦闘シーンなどあらゆる面を総合してかなり面白く見応えのある作品であり、むしろ変な「ガンダムはこうあるべき」みたいな考えが脳内に出来上がる前に観てしまった方がより純粋に楽しめるのではないかな、と思うのでこの水星の魔女こそが1位であると言いたい。
スレミオはいいぞ。
公式学パロが発表されたのでそちらもよろしく!
本音
…と1位から5位までを紹介してきたわけだ。
しかしこれはあくまで衝動を抑えて搾り出した答えに過ぎない。
本音のところでは違うのだ。
いいから黙って1st(機動戦士ガンダム)から発表順に観ろ!!!
ここで時系列順に勧めてくる人もいるがそれは違う。
ここは作品発表順に追うことが大事なのだ。
スターウォーズをエピソード1からではなくエピソード4から追うのと同じくらい大事なことだ。
決して1st劇場版三部作を見たから次は同じように新訳Z三部作を観よう〜などと血迷うな!
新訳Zはもっと後に観るの!!!SEED DESTINYの次くらいに!!!
…わかるか。
衝動を解き放つとこういうめんどくさいことを言い出すんだガンダム好きってやつは。
僕は発表順に作品を追え!!と言う叫びを堪えながら引き攣った笑顔で上記のランキングを勧めているのだ。
人によっては時系列順を勧める人もいるだろうし本当にファン一人一人に胸に秘めたおすすめ作品や順番が存在しているので危険な議題なのだ。
戦争なんだよ!!
と、何が言いたいかというとガンダムオタクにこう言うこと聞くとホントにめんどくさいよ、ということである。
「気になったものを好きなタイミングで摂取する」これが何事においても大事である。
それこそかっこいいor可愛いキャラが気になるからこの作品を観ようかな、でもいいしこのMSがかっこいいから気になるな、でもいいし舞台設定に惹かれたなんてのでもいい、今話題だからなんとなくでもいい。
その瞬間心が動いた方向に進んでガンダムを摂取してほしい。
それくらい幅広くさまざまな種類のガンダムがある。
どこかに琴線に触れる作品は眠っているはずなのである。
「どれが初心者おすすめ?」なんて聞くのは危険だしこういうめんどくさいオタクたちに絡まれてしまう。
せめて自分の好きな作品の傾向だったり気になってるキャラなんかを含めて聞いてみるともっと適切に絞って作品を紹介してもらえるかもしれないがもっと気楽に気にせず自分の観たいものを観て、わからなければ後から空欄を埋めるように他の作品に手を伸ばしていけばいい。
それでもどうしてもと言うなら先ほど紹介したランキングを参考にでもしてほしい。
以上、周回遅れで初心者おすすめガンダムについて語りました、というお話。
…本音としては1stから発表順にだけど。