変態?失礼だな、純愛だよ 戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪 感想

超コワすぎ 蛇女 その他

遂に観ました超コワすぎ最後の作品、蛇女。

なんだかんだここまで辿り着いてしまったか…という感慨が湧くようないわゆる集大成的作品というわけではないのだがじゃあいつものコワすぎか?と言うとそういうわけでもない。

異色作である。

まさかのまさかのラブストーリーである

今作は若い女の子と少し会話したらうっかり恋をしてしまった孤独な38歳無職男性という女に免疫無さ過ぎておかしな行動を取ってしまう中年男・桜井を工藤さんらコワすぎ取材班が全力恋愛サポート!という嘘みたいな内容。

いいのかこれが一区切り的作品で!!
まあいいか!!

冒頭30分以上ひたすら知らんおっさんが女の子につきまとう映像を見せつけられて何事かと思いきや今作はこの桜井がほぼ主人公ポジションという恐るべき事実。

工藤さん達よりもこの男を中心にストーリーが進行するいつもと一風変わった作風ではあるものの、無職おっさんと妖怪人間蛇女というわけわからんもんをマッチングさせそこに工藤さんという劇薬を混ぜたにも関わらず奇跡的に綺麗に纏まっているあたり「ああコワすぎだこれ」と安心もするおかしな作品だった。

これがまあ案外面白かったわけで。

山の中で出会った女の子をこっそり撮影というだけで通報されても仕方なさそうな案件なのにそこから後をつけて家を特定、夜に家に忍び込んだり着替えを撮影したり無垢で純粋すぎるのも言い訳にならないレベルでアウトな行為をしてしまう38歳おじさん桜井。

市川さんにビンタされるのも仕方ない。

超コワすぎ 桜井
恐らく最も工藤さんと市川さんに殴り倒された一般人。この男の情けない表情と工藤さんの暴力の相性が良すぎた。

しかしこの男がなかなかどうしていい年して泣きじゃくったりもじもじ喋ったりと情けない姿を見せつつも惚れた女のために異様な粘りと気合を爆発させるのでなんだか段々と応援したくなってくる不思議な魔法をかけられてしまい最後の方にはなんか感動してしまうのである。
自分でも信じたくはないがこれがマジなのである。

もうとにかく一般人とは思えないくらい工藤さんに殴られ市川さんにビンタされたりと散々な扱いを受けるのだがそこから何度でも立ち上がる不屈の精神力と謎のタフネス。
まともな人ならいくら惚れた女の為でもそんなことはしないだろうという行動をやってのける思い切りの良さ。

何がそこまでこの男を滾らせたのかわからないがとにかくきっかけ一つで人間こうも変わるという例を叩きつけられたような気分にもなる一本だった。
こんな例極端すぎて何の参考にもならない気がするが。

そして肝心の工藤さんと市川さん。
桜井がメインということで影が薄くなるかと思いきや全然そんなことはなくむしろその暴力性が輝いていた。

殴る蹴る金属バット叩き込むとタフネス桜井でなければ普通に病院送りになっているであろうレベルの暴力を一般人相手に浴びせまくる工藤さんにはもうやりすぎで笑いが止まらなかった。
それでいて桜井自身の意志を尊重しようとする工藤さんの姿にかつて運命に逆らい続けた時の姿が重なって見えてなんか嬉しくもなったり。

そして僕の中にある一番ヤバいのはキレた市川さん説を補強するような「ビビる工藤さんを置いて木刀片手に敵陣に切りこむ市川さん」の絵面も見れて大変満足。
コワすぎを見始めたくらいの頃市川さんは工藤さんに振り回されるだけの人かなとか思ってたのが今となっては最早懐かしい。

超コワすぎ・木刀持った市川さん
劇場版の時といいここぞという時その場の全員を置き去りにする行動を取る女・市川。たまにしかこういう姿を見せないから余計に際立つ。

最初の投稿映像の時は今作はちょっといまいちかもなと思っていたはずなのに気づいたらおっさんの哀愁漂う情けなさに工藤さん市川さんをブレンドさせた味を堪能してしまっていてなんか白石監督の術中にはまったような気がして悔しくもある。

「無職中年男性が若い妖怪人間に惚れちゃって告白するために初対面の女性やチンピラおっさんにビンタされたりバットで殴られたりしながら真の男として覚醒していく物語」なんて…そりゃ面白いよ!
毎度のことながら良く思いつくよこんなプロット!!

そして最後に。
蛇女つぐ巳…のお母さんが目力強すぎてコワかったんですけど。
昼間であの迫力ってなんなんだ…
しかも結構ちゃんと理屈の通った言葉をぶつけてくるのでその辺のおばちゃんに本当に怒られたような居た堪れない気分にもなってしまって二重に怖い。

なんていうか怪異と実在のおばちゃんどちらの怖さも取りそろえたハイブリッド妖怪人間で厄介な強敵だったな…

まあお母さんの立場からすればカメラ回して夜な夜な忍び込んでくるおっさんとか普通なら許せないくらいやばい生き物だろうしあれくらい圧のある態度も当然なんだけど。

とまあ最後の超コワすぎ観了ということで。

もっと見たかったな!

コックリさんと工藤さんのコンビとか、市川さんのお兄ちゃんの伏線とか、いろんなものが絡み合って辿り着く本当の結末みたいなものが本来超コワすぎには用意されているはずだったんじゃないかなあと思うと!

もっと見たかったなあって!

とりあえず走り始めたばかりの物語への無念を抱きつつもここで一区切り。
次はワールドをいつか観たら…ということで。

Blu-ray boxも出るらしいからその辺にでも観ようかな…
楽しみなような寂しいような…

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