-人類未踏の、領域へ。-
劇場公開を見逃してから一年近く見ないままになってたあのジュラシックシリーズ最新作復活の大地を今更になってようやく鑑賞。
公開当時は結構「否」寄りの意見が散見されたけど…
いや全然面白かったんですが。
それも結構。
そりゃあ1とかワールド一作目とかとは比べものにはならないけど、それでも全然名作だと思ったんですがね。
前作「新たなる支配者」よりも断然こっちの方が良かったよ!!
個人的にはかなり肩を落としてがっくりくる出来栄えだった「新たなる支配者」がシリーズの最後を飾る作品ではなくなった、という事実だけで大量加点を与えてる感は否めないが。
(あとあのギャレス・エドワーズが監督してるというだけで加点してる間違いなく。ギャレゴジ好きなんで。)
前作・前々作で世界に放たれた恐竜たちも結局は世界にうまいこと適合できずに一部の場所にその棲家が集中する形で事態は収拾し人々も恐竜を見飽きて感心すらもたなくなってしまった、なんていう寂しすぎる設定からの入り。
ここが気に食わない人は多いんだろうな、とは思うけど個人的にはアリ。
街中の交通網を麻痺させちゃってる弱ったブラキオサウルスにうんざりしてる市民や警察の描写なんかもあったけど人間の好奇心で生み出し見せ物にしておきながら結局珍しさが薄れたことで感心も一緒に無くなっていくというのは実に「人間!!」って感じで人間のエゴを描いたシリーズがたどり着く描写としてかなりしっくり来て良い。
むしろシリーズ仕切り直し一発目なのにちょっとこじんまりとしたスケールの話だなというところの方が気になった。
主人公ゾーラとは別軸で進む家族目線の物語もあるおかげでジュラシック・パーク3を思い出してしまうからだろうか。
物語全体のスケールに対する若干の物足りなさは仕方ないとしてもだ、話そのものは悪くない。
母を失ったゾーラ、息子を失ったダンカン、娘の彼氏とうまく打ち解けられないルーベンなどそれぞれがリアルに抱える喪失や苦悩を冒険の中で解消していくという見応えのある恐竜シーンを合間に挟み込みつつ人間ドラマもきゅっとうまいことまとめ上げていて見応え十分の作品になっている。
個人的には3のアップデート作品のような感覚だった。
(スピノサウルスも大活躍するし!)
特に人物描写で良かったのはダンカン。
明言されていなくてもその言動の節々から息子を亡くしていること、そしてルーベンの娘たちと自分の子供を重ねて彼らを常に心配していることがわかるようになっており、子を失った父親としての姿が劇中で強調されている。
更にそれに留まらず必ずと言っていいほどダンカンの目の前で仲間が食われて死んでいく。
多分全員ダンカンの前で死んでないか?
ロープを引っ張って助けることができたと思ったら目の前でその仲間が丸呑みにされる瞬間を目撃しちゃったりと旧知の仲の人間が容赦無く残酷にダンカンの前で死んでいく。
目の前で喰われる仲間を誰も助けられなかったダンカンが自分の子と重ねたルーベンの娘のために取った最後の行動は旧作オマージュが盛り込まれつつダンカンというキャラクターの積み重ねの果てに辿り着いた結末でカタルシス十分、影の主人公と称しても差し支えないほどに見応えある動き方をしていた。
(それもあの最後の行動の直前、目の前で別の人間が無惨な死に方をしている姿を見ていたし自分もそういう死に方をする可能性があるとわかった上でのあの行動であることを踏まえると本当に覚悟完了しすぎているしそれほどまでに子供を守りたいという気持ちが強かったのだろうというのが伝わってきて非常に良い。細かなことは口で言わずとも伝わってくる丁寧な人物描写である。)
同じようなオマージュは「新たなる支配者」でもあったが作劇上の必然性、ドラマ性、爽快感はこちらの方が上質だったと思う。
これはダンカンの描写がしっかりとしていたからこそ生まれた感動だよ。
ダンカンの描写が印象に残りすぎたせいでこの映画のキモだったであろうスカーレット・ヨハンソン演じるゾーラがちょっと霞んでた気がしないでもないけどこれは僕がダンカンに目線行きすぎなだけか…?
とはいえゾーラも「母親の死」という悲しみを背負っていることがちゃんと物語の本筋である「恐竜のDNA入手ミッション」に絡んで彼女の下す決断に一種の納得感をくれる仕様になっているので彼女も丁寧に描写されているよな、とは思うんだけど…
っぱダンカンよ。
ダンカンが良すぎたよ。

ルーベン一家についても同様。
3だとグラントじゃなくて家族の方が主人公とすら思ったのに本作はダンカンの方が目立っていた。
というかあの一見ろくでなし男ザビエルとルーベンの絆が育まれていくところもっとたくさん見たかったな。
そこは明確に物足りなさがあったところ。
調子乗りかと思いきや意外と自己評価が低いザビエルをちゃんと肯定してくれるルーベン、思わず嬉しくなってしまうザビエルの所なんかすごい良かったのでこの調子でもっとこの2人の仲良くなる光景を見たかったよ!!
せっかく別軸で話動かしたんだし!!
まあこれで十分と判断したんだろうな。
とまあ人物に関してはこんなもんとして次は肝心の恐竜について。
何よりもだよ。
何よりもモササウルス!!!
これまでちょろっと出てはインパクトを残してクールに去っていったモササウルスが結構な長尺でゾーラらと海上大激戦を展開してくれてすごい嬉しかった。
落下しかけるゾーラをモササウルスがしっかりと視認しているシーンは捕食者と被捕食者のゾッとする怖さがあってもう最高!
しかもスピノサウルスと連携して狩りをするというトンチキ設定まで披露してくれて「こんなに最初から頂いちゃっていいんすか!!」と興奮。
(トンチキ…だよな?いや意外とあったりしたのかもしれない…)
捻り回転着水なんかも披露したり浅瀬ギリギリまで接近してくれるほどにサービス精神旺盛で「やっぱりこいつ1匹で映画のメイン張れる見応えあるよな…」とワクワクが止まらなかったね。
モササウルス単独映画、あったっていい!!
で、あとは捕食シーンがかなりちゃんと作られていてそこがかなり好印象。
死に方の残酷度はシリーズでも上位に来るそれでインパクトあるものばかり。
子供と目が合いながら引き摺り込まれ捕食される場面で100点、波打ち際でスピノサウルスに海中に引き摺り込まれ捕食、返す波で浜辺にその大量の血液がザザーっと来る場面で100点、そしてケツァルコアトルスに追いかけられてじわじわと追い詰められながら最終的に丸呑みにされちゃう場面で1000点。
「いやだーーー!!」ってなるような喰われ方がたくさんあっていやもう本当に素晴らしい。
ちゃんとロマンだけでなく恐竜が持つ怖さを描くのもこのシリーズの醍醐味なのでね、すごい満足でしたここらの恐怖描写は。
怖さとワクワクが共存してたよ。
そしてTレックスと行くボート川下りツアーみたいな恐怖描写とは反対に笑かしにきてるだろ!!みたいなシーンもあったりと笑いもこなせるあざとさも発揮。
その局面でボート無理して乗る必要ないだろ!!という心のツッコミが止まらない名シーンだよ。
あと肝心のDレックスに関しては意外と出番が少なくてびっくり。
とはいえ煙幕の中に一瞬姿を現したりヘリを噛み砕きぶん投げしたり、捕食する時は手でしっかりと人間の体をホールドして頭からかぶりついてファミチキみたいに噛みちぎったりとインパクトあるシーンが多くて出番がない癖に異様な存在感はあった。
気持ちはDQ2のシドーみたいな、暫定ラスボスの後急に現れて暴れ出す真ラスボスとの戦いを見ている気分。
動きが意外と遅くて可愛…くはないな、ええ。
まあこいつに関しては恐竜というよりクリーチャーって感じでそこへの不満や拒絶感は生まれた人多そうだよなとは感じたかな。
インドミナスレックスとかインドラプトル以上に見た目クリーチャーしてたと思う。
にも関わらずあの幕引きはちょっと不完全燃焼というかなんというか。
そこも数少ない不満点の一つかな個人的には。
とまあなんだかんだちゃんと面白かったです復活の大地。
ボロクソ言われるような作品ではないしシリーズの中でも真ん中より上に来るくらいの面白さはあったと思う。
共生が描かれていない!!なんて言う人もいたけどいやそれはドロレスが担ってたよね?と、オーウェンとブルーみたいなのは無いにしてもそれまでにいなかった異物を理解し共存していく、という意味ではルーベンとザビエルもある意味ではその役割をこなしていたと言えるんじゃないかなと思う。
馴染めない、理解できない相手を知り共に生きていけるようになるという、多様な形で共生は取り扱われていたなと個人的には感じたところ。
人の傲慢さが生み出した恐竜の恐怖と脅威、そして人間の持つ際限のない欲求と狂気、シリーズを通して描いてきたこれらをちゃんと継承し描いてみせた正当なジュラシックシリーズ作品であり、しかもそのへんを結構丁寧にやってくれてるな?とすら感じるのでもう少し評価されてもいいんじゃないかなと個人的には思う作品だった。
好きな人には申し訳ないけど「新たなる支配者」にはかなりがっかりしてしまったクチなので、とっ散らかっちゃったシリーズを綺麗に仕切り直してくれた感謝しかないよ今作には。
仕切り直しとしては十分すぎるほどに立て直しをしてくれた作品じゃないかな。
続編にもかなり期待しちゃうねこれは。
